連載インストラクショナルデザイナーがゆく第12 回 人材開発カンパニーで 「関西力」の熱さに圧倒
松下電器グループが経営する幹部人材育成施設で講演
桜前線が東京を通過した3 月下旬、それとすれ違うように新幹線で西に向かった。目指すは大阪・枚方市にある「人材開発カンパニー」。21 世紀のグローバル&グループ経営を担う幹部人材育成のための研修棟を持つ松下電器グループの研修機関で、私の研究テーマでもある「ワークプレイスラーニング」という名前の研修チームがある。そこでインストラクターとして活躍する方々を対象に、インストラクショナルデザイン(ID)についての実践セミナーをするのが目的だ。
ものすごい勢いで通り過ぎていく車窓のお花見を楽しみながら、PCを立ち上げ、準備したいくつものファイルをチェックする。受講者の多くは、開発・製造・販売の現場での豊富な経験を活かして研修教育にあたっているインストラクターだが、IDについての体系的な話を聞くのは初めてとのこと。ならばモチベーション設計や評価技法、あるいはシナリオ設計に関する詳細な項目は後に回し、まず「ID とは何のための技法か」「ID を知ると、どんなメリットがあるのか」について、それぞれの経験と結びつけて考えるプロセスからスタート。「基本の“き”」の共通言語を押さえつつ、IDを活用した教育設計のビジョンをしっかり持っていただく。これが今回の目標である。よぉーし、学習オブジェクトを絞り込んでいく分析的なパラダイムではなく、マルチシナリオ的なアプローチである創造的パラダイムで、参加者が興味を示すトピックを選んで柔軟に進行しようと戦略を練る。