連載 MBA 人材マネジメント講座 第4 回 アングロサクソン型人事システム・個別人事施策間のフィット Part2 職務主義、成果主義、現価主義、 分権的人事管理のフィット
人材の流動性が高い労働市場を基盤とするアングロサクソン型人事システムはその個別人事施策間のフィットをみても日本と対極的であるといえる。
前回では雇用施策、人材選抜、異動について施策間のフィットについてみたが、今回では職務主義、成果主義、現価主義、ライン主導の分権的人事管理を取り上げ、各施策間のフィットについて考えていく。
雇用システムは、長期雇用に基づく内部人材育成型の組織型雇用と、外部労働市場から必要人材をそのつど調達する市場型雇用の2つに大別される。前者の代表には日本が、後者の代表にはアングロサクソン諸国が挙げられるが、両者ともに雇用ポリシーを中核として、個別人事施策間でフィットが成り立っており、トータルな人事システムとして機能している。
前回では図表1に示したアングロサクソン型人事システムのフィットタイプのうち、採用、内部人材選抜、組織内異動の分野を取り上げ、市場型雇用施策にフィットした形態として、職種別・職務別採用、早期選抜、スペシャリストとジェネラリストの分離、職種内異動を紹介した。
今回は、職務ベースの社員格付け・賃金システム、成果主義、現価主義、ライン管理者主導の分権的人事管理について、フィットの内容をみていく。なお、前回同様に本稿で焦点をあてるのは、ホワイトカラー層の人事システムである。
職務ベースの社員格付け・賃金システム
職種別・職務別の採用、職種内の異動が行われれば、社員格付け・賃金システムは、日本のような人(職能)ベースではなく、担当している職務に基づく職務ベースが適した社員格付け(等級構造)・賃金システムとなる。
具体的な方法について社員格付けから紹介する。社員格付けのスタートは職務分析(ジョブ・アナリシス)である。職務分析によって職務内容(ジョブ・ディスクリプション)と職務遂行に必要な人的要件(パーソン・スペシフィケーション)を明らかにする。そして、抽出された職務内容・人的要件をもとに、組織内・職務間の相対的な重要度・難易度を評価する職務評価(ジョブ・エバリュエーション)を行い、職務等級(ジョブ・グレード)構造を構築。各職務を等級構造の中で該当する等級にあてはめていく。