連載 話題の本から読み解く米国HRトレンド 第8回 A Guide to Working With and Surviving Difficult Co-Workers ムズカシイ同僚がいる職場で生き抜く術
今回は人材開発担当ディレクターのリーン・シュミッドが、日本でも翻訳されている、職場の“やっかいな人”についての書籍を評する。
この本はアメリカで大きな反響を呼び、人事部門でも人気を博しているという。
著者ロバート・サットン(スタンフォード大学教授・経営学者)も、当初このような本を書こうと思っていたわけではなかった。すべては2003年、彼が『ハーバード・ビジネス・レビュー』に、自分が思いつくビジネスのベストプラクティスは「asshole*禁止令(The no asshole rule)」だとほのめかしたことに遡る。そして、この言葉をいじめっ子(bully)や愚か者(jerk)などに言葉を弱めなくてよいのなら、これについて記事を書いてもいいと提案した。結局この記事「職場のイヤな奴実体験(原題:“More Trouble Than They're Worth”)」は2004年2月号に掲載。
この言葉が8回も使用された。彼は表現をオブラートに包まなかったのだ。この記事は大きな反響を呼んだ。著者はこれまでにも論文の読者から電話やメールを受け取ることはあったが、せいぜい数本だった。ところがこの記事には世界中のたくさんの読者からメールや電話が殺到したという。関連報道やインタビューも続いた。サットンは、この内容は世界中の誰もが経験していること、誰もが自分の問題としてとらえることができることなのだと知った。