連載ラーニングイノベーションVol.6 ビジョンは現場で ビジョンになる
ビジョンを求める人ほどビジョンを否定する
組織には、2種類の「ビジョン症候群」が蔓延しています。1つめは、組織のボトムラインに生じるもの、もう1つはトップ層に生じるものです。今日は、この2種類の「ビジョン症候群」についてお話ししましょう。
昨今、組織の活性化のため、あるいは、職場の一体感をつくり出すために、“ビジョンのマネジメント”が注目されています。人事部には、人の側面から組織の強みをつくり出すことが求められていますが、その仕事は、この問題と非常に関連が深いと思います。
まずは1つめの症候群、それは、ボトムラインで起こるビジョン症候群です。症状は、「うちの組織にはビジョンがない」「うちの社長は明確なビジョンを持ってない」と嘆いている方に典型的に見受けられます。しかし、これらの言葉をすべて真に受けてはいけません。
なぜか? 少なくとも僕はアカデミアという領域しか知りませんが、「ビジョンが欲しい」という人に限って、ビジョンができたら文句を言い、自分から何もアクションをとろうとはしない傾向があるからです。いざビジョンが明示されたら、「こんな不明瞭なビジョンじゃ、何から手をつけていいかわからない」と言うのです。もう「どっちやねん!」とツッコミを入れたくなりますね(笑)。
僕の短い人生で、「ビジョンを欲しつつ、それが与えられた時に、それに基づいてアクションをとった人」を、悲しいかな知りません。「上」が何かをやってくれるに違いない。ビジョンという名のプランやルールを作って、「上」が何をしたらいいか教えてくれるに違いない。そう思っている方が多いように思います。皆さんの会社はいかがですか?