連載 話題の本から読み解く米国HRトレンド 第 10 回 Change Strategies That Really Work 本当にうまくいく変革の戦略とは

今月は、Performance Technologistのホリー・バーケットが、複雑な組織の現状に即した変革の進め方について書かれた書籍を評する。
変革を支援する人事・人材開発部門にとっても必要な視点が詰まっているという。

企業でつねに組織変革の必要性が問われる中、その変革の7~8割が失敗に終わっているとよくいわれる*。2005年のビジネス・ウィーク誌の調査でもCEOの解雇理由として最も多い(31%)のが「変革の失敗」だという。変革マネジメントに関する書籍は多数あるのに、なぜこうした状況に陥るのだろうか。
巷で多く語られている変革へのアプローチは「リーダーが変革を正しくリードすれば、従業員はそれに応え、変革が成功する」といったもの。そのためのリーダーの仕事は、ビジョンを伝え、切迫感を醸成し、チームメンバーの話をよく聞く、などといったところだ。
しかし本書は、こうした従来説かれてきた“知恵”はシンプル過ぎて、実際の組織のうんざりするような複雑さにそぐわないと論じている。たとえば、多くのリーダーは、社員1 人ひとりがある事象に対して違う反応をするという“複雑さ”を受け入れられない。そしてしばしば社員を変革に対する「邪魔者」と見なしてしまうといったことである。
さらに本書では「変革も管理すべき」といった考え方を安直だと切り捨てる。なぜなら、諸問題を1 つひとつ順を追って変革していけるような場合はほとんどないからだ。多くの場合、各部門でさまざまな変革が進められ、部門を越えて重複したものがあってもバラバラに扱われるため、管理など到底無理なのである。