STRATEGY 自主性を尊び、自ら這い上がる人材に チャンスを与える

無人島でのサバイバル生活、入社後10 年間で3 回の部署異動、グループ会社や職種をまたぐ大胆なローテーション――ユニークな研修と柔軟な施策をグループ全体で行い、タフでアグレッシブな人材を育成するのは食品大手の日清食品ホールディングスだ。不況下でも安定的な食品業界とはいえ、プライベートブランドの躍進など変化は激しい。国内外の市場を勝ち抜くためには“迷ったら突き進み、間違ったらすぐ戻る”ような、骨太でフットワークの軽い人材を育てることが重要だと考えている。
競争が激化する市場で勝ち抜くための人材育成
2008年10月1 日、日清食品グループは持株会社制に移行し、新体制をスタートさせた。旧・日清食品で取締役人事部長を務めていた私も、ホールディングスのCAO(グループ管理責任者)に着任した。私の新しい使命は、グループ全体の人材育成をサポートし、底上げすること。ベースとなる人材理念は旧・日清食品の「負けず嫌いの骨太社員」をそのまま引き継いでいる。時は、世界全体が厳しい経済不況に見舞われ始めた頃。まさに荒波の中での船出であった。
食品業界は不況下でも比較的、安定している業界といわれる。弊社の業績も、幸いなことにこの不況によって大きく落ち込むということはなかった。ただ、一昨年前半の原材料価格の急上昇に関しては、昨年1月、17年ぶりに商品の値上げをせざるを得ないほどに大きな影響を受けた。
一方、国内市場においても厳しさは増している。何より流通各社がPB(プライベートブランド)商品の開発を強化したため、競争がさらに激化した。スーパーなどの商品棚がPB 商品に席巻される中、スペースを確保しなくてはならない。そのためには、これまで以上に、自社ブランドのブランド力に磨きをかけ、高付加価値商品の開発・販売をしていく必要がある。
このように、国内外の市場状況が大きく変化し、競争も厳しくなっている時代においては、企業が戦略的な人材育成を行う重要性が増している。弊社の場合は、これまで旧・日清食品で培ってきた、自ら手を挙げる人材にチャンスを与える風土をいかにグループ全体に浸透させ、人材の強化を図るかがカギである。打たれ強く、競争力のある人材をもっと育てていかなければならない。そのために、すでにグループ全体を視野に入れた新たな試みもスタートさせている。
タフなクリエイターの10の基本精神

まず、新体制への移行に伴い、グループ理念として「EARTH FOODCREATOR」を掲げた。これは、「『食』の可能性を追求し、人類を『食』の喜びや楽しみで満たすことを通じて、社会や地球に貢献する」という、日清食品グループの意志、普遍的な考え方を明文化したものであり、社会にとっての日清食品グループの存在意義を表した言葉でもある。
これを体現し続けるために、日清食品グループの社員は部門・役職を問わず、全員がクリエイティビティを持ち、すべてをゼロから創造し、提案し続ける感度の高いクリエイターであることが求められる。そしてEARTHFOOD CREATOR を目指す社員が持つべき具体的な基本精神を10カ条にまとめたものが、「NISSIN CREATORSSPIRIT」(図表1)である。