連載 人事担当者のための正しいメンタル不全対策 第 8 回 職場の負担への配慮が 職場復帰成功の条件
本人の職場復帰への意志、主治医の職場復帰可能の意見が確認できたら、いよいよ職場としてどのように職場復帰を支援していくのかを検討することになります。そこで今月号では、職場復帰にまつわる基本的な考え方と、その復帰支援プランの立て方について説明します。
元の職場への復帰が大原則な理由
職場復帰は、本人が療養前に所属していた元の職場に戻ることが大原則です。これは、異動しても職務内容、人間関係、通勤経路など、その人を取り巻くすべての環境が変わってしまうことになり、それはそれで大きなストレスになる可能性があるからです。また、復帰者が長期療養することになった経緯をまったく知らされていない職場へ異動しては、適切な配慮や理解を得られるかどうかもわかりません。
主治医から職場異動を勧める診断書が出されることもしばしばありますが、主治医の診断書には、労働者本人や家族の希望が含まれている場合があります。そのため、単純に主治医の意見や診断書を鵜呑みにするのではなく、職場の管理職、人事労務担当者、産業医などが総合的な見地から、その人にとって望ましい職場はどこか慎重に検討し、結論を出す必要があるでしょう。
ただし、セクハラやパワハラ、過重労働など、メンタルヘルス疾患発症の原因が明らかに元の職場にあると考えられる場合には、別の職場に復帰するのが一般的です。