重重無尽 個々が責務を果たすことが 組織力の最大化につながる
組織の中で育てる人材は、組織の目的や役割、置かれた環境によって自ずと決まってきます。自衛隊の場合、その目的・役割は、我が国に対する侵略や大規模な災害などから、国民の生命と財産を守ること。ですから自衛官には、命の危険を伴う極限状態でも冷静に判断し、行動できる強靭な“心”が求められます。
また海上自衛隊では、先端技術の結晶である艦艇や航空機を扱う高度な知識と“技術”、そして、海という厳しい自然環境の中で任務を達成できる、人並み外れた“体力”も必要になります。つまり「心・技・体」のバランスがとれた人材をいかに育てるかが、我々教育部隊に課せられたテーマなのです。中でも“心”を育てることが特に重要だと、私は考えています。
人は誰でも生死の分かれ道に立つと、怯え、迷い、冷静さを失います。このような状況下で弱い心を支え、勇気を与えるものは何か?