連載 人事担当者のための正しいメンタル不全対策 第 9 回 気にし過ぎ、配慮し過ぎが うつ病再発を招く
今月号では、職場復帰後のフォローアップの仕方を取り上げます。まずは、次の例を見てください。
【症例】食品メーカー(営業担当)F 氏 44 歳女性
F 氏は離婚や仕事上の大きなミスからうつ病を発症したが、3 カ月間の療養を経て職場復帰を果たした。復帰後1 カ月間は課長の配慮で残業をすることもなく、仕事の内容も、社内のプレゼン資料の作成など、社外とのやり取りが生じない簡単な仕事に従事していた。そのおかげで特に再発の兆候もなく、順調に過ごしていた。
復帰から3 カ月めに入ると、F 氏は課長に、これまでの配慮に対する感謝とともに、もう元気になったので、そろそろ本来の営業の仕事に戻れそうだと伝えた。すると課長は「元気になって良かった。でも、うつ病は再発率の高い病気だって言うじゃないか。病院に通って薬も飲んでいるみたいだし無理は禁物だ。まだしばらくは、社内の補助的な仕事をやってください」と言った。また、職場の暑気払いにF 氏が参加しようとしたところ「まだ復帰して間もないんだから、夜は早く帰って十分睡眠を取らないと。参加しないほうがいいのでは?」と参加せずに早く帰るよう促した。
こうした軽減勤務と観察状況が4 カ月以上続くと、F 氏は会社に出勤しても手持ち無沙汰になることが増えていった。そして徐々に会社内で自分の居場所がないと感じるようになり、同僚とも会話をあまり交わさなくなった。職場にいることも苦痛に感じるようになり、ついにF 氏は再び会社を休みがちに。主治医からは「うつ病の再発につき、再休養が必要」という診断書が発行された。