TOPIC 創刊250号記念『人材教育フォーラム2009』レポート 若手人材の育成が 上司や先輩の成長につながる
弊誌『人材教育』は、2008年10月号で創刊250 号を迎えた。そのことを記念して、11月12日、東京にて特別企画『人材教育フォーラム2009』を開催した。
メインテーマは「若手人材の育成で組織を活性化させる」。
第一部ではパネルディスカッション、第二部では4 つの分科会を行ったが、ここで、第一部の模様──東京大学准教授・中原淳氏をコーディネーターに、あすか製薬、日本旅行、森永製菓の育成担当3 氏をパネラーに迎え、活発な意見交換が行われた模様をレポートする。
若手社員が、社会や企業の構成員として育つために最も大切なものに“上司や同僚とかかわり合う仕組み”が挙げられるだろう。しかし、よく言われるように、昨今の職場ではこの仕組みが失われている。そこで、そうした職場では新人育成を、どのようなタイミングで、どのような仕掛けで行えばいいのか。また、新人育成が組織にもたらす影響やメリットを探る──これが、中原淳・東京大学准教授から投げかけられた、『人材教育フォーラム』第一部の問題提起とその背景である。
当日はまず3 社の事例発表があり、それを受けて参加者がカードに質問や意見を記入。これを集計し、中原氏がパネラーに投げかけ回答してもらうという形で進行した。途中、参加者同士によるディスカッションタイムもはさみ、会場は大いに盛り上がった。
●上司、部下がともに成長する仕組み
発表者:あすか製薬 人材開発センター
グループマネージャー 澤田幹夫氏
トップバッターのあすか製薬・澤田氏は、組織で若手人材を育成する仕組みをつくるため、部下と上司をセットで育成し、両者がかかわる機会を意図的に設けている取り組みについて発表した。
その第1 のポイントは、研修前後への上司のかかわり方を定め、内容説明から研修後の職場フォローまでを上司に行わせること。そうすることで配属後の研修にて、上司が研修前後に実践指導できるようデザインしている。第2 のポイントは、若手の実践の場を重要施策に紐付けすることで、上司の指導機会を日常業務の中に設けること。このことで上司のマネジメントと部下指導の機会を合わせ、忙しいから指導できないという事態を防いでいる。第3 のポイントは「メンター活動」。上司は部下の数が増えてくると育成負担が大きくなるため、メンターを定め若手を支える。その意味でメンター活動は有効だが、メンターと新人の1 対1の関係となり、周囲から状況が見えにくくなるという点もある。そこで、活動における上司の役割を明確化し、かつ活動を職場で共有できるようにした。これらの取り組みによって同社では、部下の学びと成長支援を職場ぐるみで促している。