連載 ベンチャー列伝 第 12 回 若手を絆で支えながら 青春するチャンスを与える
インターネット接続サービスを中心に事業を展開するネクシィーズでは、さまざまな機会をとらえて社員の間に確固たるチーム意識を醸成。
心を支え合いながら、次々と新しいことに挑戦できるステージとチャンスを与えている。
仲間意識の強いファミリー企業をめざす
ネクシィーズは、インターネット接続サービス事業を中心に、そこから派生するさまざまな事業を展開するベンチャー企業である。平均年齢27歳という、若いエネルギーを力に躍進し続ける同社。その若手人材育成策は、社員同士、支え合いながら切磋琢磨する関係性を築いたうえで、次々と新しいことに挑戦させる機会を与え、個々の能力を開発するというものだ。
人材育成を先導する代表取締役社長・近藤太香巳氏は「人が輝けば企業も輝く」という理念を掲げ、「人を輝かせるためには一切の労力を惜しまない」と語るが、その姿勢は、新卒の説明会から惜しみなく発揮されている。「全国で開催している会社説明会では、参加者に私が直接語りかけています。会社の概要よりも、私が19歳でこの会社をつくってこれまでやってきたことを自慢話ではなく、その時々で何を思い、感じ、そして学んだのかを話し、そうしたことから、若い時には何を考え、どのようなことに気がつかなくてはならないのか、ということを伝えています」(近藤氏、以下同)。あまりの情熱的な話に、涙する学生もいるという。
内定者に対しては、インターン研修期間を設けている。インターン生がまず行うのは、4 月の自分たちの入社式を、自分たちの手で企画すること。どういった流れで、どんな演出を施すかを考えてもらい、企画を動かして仲間と協働する経験をしてもらうのだ。
一方、先輩たちも新入社員歓迎会を企画。歓迎の言葉を添えたカレンダーを用意するなど、手作りで心のこもった歓迎会が催される。
同社ではたびたびこうしたイベントが開かれるが、どれも社員同士の暖かい絆を感じさせる。というのも近藤氏が考える理想の組織のあり方は「ファミリー企業として存在し続ける組織」であり、社員は“ファミリーの一員”であるからだ。そして、規模が大きくなっても絆の強いファミリー企業であり続けるために、イベントや食事会など、仲間同士のコミュニケーションの機会を非常に重視して、チーム意識を高めている。その心は「Nexyz.ISM(ネクシィーズ・イズム)として、グループの全社員に浸透しているようだ。
ステージとチャンスを徹底的に与える仕組み
ファミリー企業であり続けるためには、社員たちに平等に成長の機会を与えたり、成果ややる気を評価して、モチベーションを維持していく必要があるだろう。そのために行われている取り組みは、主に以下の5 つである。
① N1 グランプリ
「 N1グランプリ」とは、毎月実施されている社内表彰イベントである。10年ほど前から行われており、営業成績優秀者はもちろんのこと、バックオフィス部門のコストダウンの実績や営業支援活動などに関する成功事例も社長賞として表彰。新人賞もあり、入社したばかりのインターン生や新入社員にも平等にチャンスが与えられている。
「全国トップの人たちを東京本社に呼んで、皆の前で自分の成功体験を語ってもらいます。笑いや涙を交えて努力や苦労、達成感を語る姿を見て、皆、自分もあんなふうに成長していきたいと思うわけです」
N1 グランプリの模様は、全国に映像配信される。成績優秀者、つまりハイパフォーマーの技や、日々の業務に対する姿勢、部下の育成方法などを伝える教育プログラムともなっている。