重重無尽 若者を変えるのではなく 大人が発想を転換する
今でこそ信念を持って指導できるようになりましたが、それまでは試行錯誤の連続でした。監督になりたての頃は、勝って甲子園に行くことしか頭になく、ひたすら厳しい指導をしていました。またある時期は、アメリカ視察で学んだことを真似て「のびのび野球」を実践。いずれも一時的には勝てるのですが、なぜか長続きしないのです。そこで再び路線を変更することに……。
そんな経験を重ねる中、ようやくたどり着いたのが「彼らにとって一番重要なのは、野球で勝つことよりも人間的に成長すること。そして、その人間的成長が野球にも結び付く」という考え方でした。それまで「野球の厳しい練習で身につけた忍耐力が、野球以外の世界にも活きる」と思っていましたから、がらりと発想を変えたわけです。