連載 現場教育の落とし穴 Vol.2 一律指導・教育がもたらす弊害 個々の特性を考慮した指導・育成を
スーパーマーケットで起きる問題の1 つにレジでの問題がある。特に“釣り銭間違い”などは困り物だ。指導する立場のトレーナーは、日々の朝礼で口うるさく言っているのだが、その方法を間違えると、かえってミスが多くなってしまうことがある。
あるスーパーマーケットでは、釣り銭間違いや値引きシールの見落としなどのミスが多く発生するようになったため、レジ業務の改善活動に取り組むことになった。まず行ったのは実態調査。レジ業務を日別、部門別、個人別に記録するというものだ。その結果、個人ごとにミスのパターン、原因が違うことがわかった。そこで、指導方法を検討し、ミスが多いレジパートさん個人ごとに指導内容、方法を決め、改善活動を行うことになった。
2 週間後、プロジェクトメンバーから改善活動の報告を受けた。ところが、「改善を実施したら、かえってミスが増えた。今までミスしなかった人までミスするようになった」という意外な答えが返ってきた。よくよく話を聞いてみると、レジチーフが気を利かせ、決めた指導内容は全員にも必要なことだと考えて、「朝礼で全員に伝達した」とのことだった。
実はレジ業務はリズムが大事だ。お客様へのお迎えの挨拶、カゴの移動、商品の取り出し、売価スキャン、商品の移動、金銭のやり取り、締めのご挨拶という一連の流れがある。効率的かつミスのないパートさんは、この一連の流れを自身のペースでリズミカルに行っているのである。