特別企画 第29回能力開発総合大会 HRD JAPAN 2010 誌上プレビュー Message HRD JAPAN 2010 の開催に向けて 現実味を帯びてきた日本の凋落 手遅れになる前に行動すべき
アジア最大級の人事・人材開発に関するカンファレンス「HRD JAPAN 2010」が、2月2日から5日まで開催される(主催:日本能率協会)。
今年のテーマは「今を越え、次代を切り拓く~変革をリードする人材マネジメントの実行」。
昨今の不況による厳しい経営環境に加えて、日本企業の存在感が世界の中で急速に薄れていく現状をいかに打開するか──。そのために、企業の人事・人材開発部門は今、何をすべきかについて、さまざまな示唆を与えてくれる内容になっている。そこで、今回の統一テーマに込められたメッセージを本大会企画委員長の花田光世・慶應義塾大学教授の言葉で、さらに各セッションの見どころを、企画委員の声も含めて紹介したい。
薄れ行く日本企業の存在感
人事は何ができるか
日本企業は今、非常に厳しい状況に追い込まれている。昨今の不況の影響ばかりではない。世界を見渡せば、あらゆる分野で日本企業の存在感が薄らぎつつあるのだ。
日本経済を支えてきた輸出産業は総崩れの状態にあり、たとえば東南アジアのプラント建設の現場では、日本企業が中国や韓国の“下請け”となるケースさえ出てきている。不況からの回復についても、各国経済がその兆しを見せる中、日本のみが取り残されているような状況だ。これは株価に顕著に現れ、主要国の中でも日本企業の株価回復の遅れが目立っている。世界第2 位を維持し続けた日本の株式市場の時価総額も、今年辺りには中国に完全に抜かれることが予想されるほどだ。
また、「日本の技術力は世界一」という通念があるが、それすら背後に韓国や中国が迫りつつある。疲弊した日本と、高度成長期時代の日本で見られたような熱気にあふれた中国を比べてみても、その勢いの違いは歴然。今のままでは、日本企業に明るい未来はない。そんな状況下にあって、どれだけの日本企業が本当に危機感を感じ、実際に行動できているだろうか。