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今月のテーマ: コミュニケーション
■ダイアローグ
訳語は「対話」。提唱者はアメリカの物理学者デヴィッド・ボーム。人々を対立から協調へと導き、解決を促すコミュニケーション手法である。
ボームは量子力学の見地から、「世界は断片化できない全体性を持つ」と考えており、チベット仏教の最高権威者であるダライ・ラマや心理学との交流を通じて、晩年には量子哲学の分野を切り開いた。ボームのダイアローグに関する著書『On Dialogue』(邦題:ダイアローグ)は、彼の死後、1996年に出版され、ビジネス界にも大きな影響を与えた。
ダイアローグは目的を持たずに話し、一切の前提を排除することで、弁証法的な集団思考を可能にする。ボームは、相手を説得して結論を得る「ディスカッション(議論)」と対比させることで、ダイアローグが含む哲学的な難解さにもかかわらず、その意味を端的に示すことに成功している。ボーム以降、人材開発分野でも、ダイアローグはコミュニケーションの重要な概念として認知されるようになった。