連載 現場教育の落とし穴 Vol.4 やる気をなくすスイッチ 逃げの一言が部下のやる気を阻む
あるチェーンストアでPOS(販売管理)データを使って生鮮・惣菜・日配といった食品部門の廃棄ロスを改善するプロジェクトが発足し、 1 回目のミーティングが開かれた。各部門のバイヤーに加え、モデル店舗の店長と売場責任者が集まり、事実確認、問題抽出、改善案立案などを議論。その結果、まずは売れ残りの廃棄ロスを正しく“見える化”しようという結論に達した。
プロジェクトの方針に従って現場では、廃棄ロスを正確に把握する運動を展開することになった。その参考値として用いられることになったのがPOSデータだ。各売り場の日々の値引きの幅や頻度などを見ることにより、仕入れが適切かどうかがわかる。
ところが、このチェーンストアの値引きデータには、毎日の値引高(商品の不良や発注ミスなどによる値引き)と、特売や売り切り処分などの現場判断による売価変更価額(計画的、意図的値引き)が混在していることがわかった。そこで、より正確に値引きの理由を把握するために、この2 つのデータを分けて管理することになった。
プロジェクトリーダーは後日、ミーティングを欠席した担当役員にこの議論の結果を報告した。すると担当役員は開口一番、次のように言い放った。「そんなことは聞いていない、なんで勝手に決めるんだ。これでは、POS データで全体の値引きが把握しづらくなるじゃないか。コンサルタントの先生がそうしろと言っているから値引きデータはそうなっているんだ。先生が今度来た時に俺が怒られるだろう」