連載 インストラクショナルデザイナーがゆく 第 35 回 生産性向上と環境保全が 両立する「緑の生産性」
環境対策費の増加という経済発展の負の遺産を打破する
スパイスの香り漂う、都内某所のインド・パキスタン料理店。インド人がランチタイム・ミーティングならここで、と指定しただけあって、カレーとナンをおいしそうに食べるビジネスパーソンで満席だ。メニューにも魅力的なカレーが名を連ねている。
今日のミーティングの本題は、“グリーン・プロダクティビティ(GP =緑の生産性)”のトレーニング・プログラムについて。お相手は、このプログラムの企画・開発に携わり、10年にわたって講師もしているインド人のK.D. バルドワジュ氏である。
彼は、日本を含むアジア太平洋地域の20の国と地域が加盟する国際機関APO(アジア生産性機構)の環境企画官で、ニックネームは「KD」。私は迷いに迷った末にシーフード・カレーを注文して、まず単刀直入に聞く。
「で、KD。GP って何?」。というのも、不勉強でお恥ずかしいが、GP とは「ビルの屋上にもグリーンを」のような、温暖化対策のプログラムかと思っていたからだ。「ま、一言で言えば、生産性の向上と環境保全を両立させようという考え方です」
両立?
生産性と環境保全って、どちらかというと対立する考え方なんじゃないの?
少々お金がかかっても環境保護はしなくちゃ、みたいな。