My Opinion① 管理職による人材育成を施策面から支える 矛盾を予測し、解決策を 統合したマネジメント施策を
日本企業における最大の経営資源は“人材(人財)”である。
しかし、その核となるはずの現場管理職の人材育成能力の低下が大きな課題として浮上してきた。
その原因の1 つとして挙げられるのが、過去のマネジメント施策の影響。
施策自体は成功裏に終わっても、あらぬところから弊害が噴出し、特に現場の人材育成に“意図しないマイナスの影響”を及ぼしている。
人を育てられる管理職をつくるには、そうした矛盾の統合を図ったマネジメント施策が求められる。
社会が高度化・複雑化し、経済がグローバル化すればするほど、日本企業における最大の経営資源は“人材(人財)”であること実感する。そういう意味からも「人を育てられる管理職をつくる」ことは、企業にとって最も切迫感のあるマネジメント施策であろう。その有効な施策について考える前に、管理職に今どんなことが期待されているのかを確認してみたい。
求め続けられる管理職のマネジメント能力向上
社団法人日本能率協会は1979年から毎年、日本企業数千社に対して「当面する企業経営課題に関する調査」を実施している。その人事・教育領域の課題では、2005年を境に、「管理職のマネジメント能力の向上」が1 位または2 位を占めるようになり、その傾向は強まるばかりである。
それでは今日の企業の管理職には、どんなマネジメント能力の向上が求められているのだろうか。以下は、人事・教育担当者が自社の管理職に対してどんな風に感じているかをまとめたものである(2008年JMAM カンファレンス参加者アンケートより抜粋)。
・プレイヤー意識が強く、管理職としての役割意識が低い
・マネジメント経験が浅く、知識・スキルが不足している
・日常業務の処理に追われて、中長期志向がない
・自部門のことに精一杯で、事業や会社全体に目が向かない
・指導・育成の経験がなく、部下育成の方法がわからない
・部下とのコミュニケーションがとれていない。また、その時間がない
・部下育成より業務を優先している