連載 インストラクショナルデザイナーがゆく 第 36 回 Twitter時代の新しい コミュニケーションと人材育成
“つぶやき”が実現させるインフォーマルな学習ネットワーク
最近、メールと同じくらい、いやメール以上に利用しているコミュニケーションツールが“Twitter”。
Twitter とは、140文字以内の“つぶやき”を気楽に思いつくままに書き込むミニ・ブログのようなもの。アメリカ発祥で、世界中の人が利用している。たとえば、「いまどうしてる?」というゆる~い問いかけに対して、「デジタルネイティブたちのコミュニケーション術について原稿執筆中」とか、「上海のHRD コンサルタントとミーティング。中国ではTwitter もFacebook(SNS の一種)も使えない、とこぼされる」とか、「ソーシャルネットワークとラーニングについての研究会に参加中。大学の授業での活用事例が想定外の多さでちょっとびっくり」などと、思いつくままに書き込める。
いたってシンプルなスタイルだが、この“つぶやき”がなかなかあなどれない。 「いいアイデアは散歩中かシャワーを浴びている時に思いつくもの」とよく言われるが、あとでブログに掲載しようと考えている間に、その思いつきの多くはどこかにいってしまう。その点、歩きながらiPhoneでも書き込めるTwitterなら、貴重な思いつきもリアルタイムでみんなに知らせることができる。
こうしたライフログとしての使い方の他にTwitter の素敵なところは、フォロワーという、私のつぶやきを見ている人からいろんなコメントがくることだ。今回はこのTwitter のつぶやきを題材に、新しいコミュニケーションツールと人材育成の関係を紹介しよう。
「デジタルネイティブたちが欲しいのはフォーマルな教材ではなくて、インフォーマルな学習ネットワークだ。最適の環境さえ与えれば、彼らの情報収集能力の高さは証明できる。コミュニケーション能力が低いというのはデジタルイミグラント*1の偏見だね」
これはASTD(米国人材開発機構)のTwitter サイトのつぶやき。デジタルネイティブたちが企業に入った時、一様にとまどうのがコミュニケーションのジェネレーションギャップだ。 「 名作(本の朗読版)をiPodで聴き」「友達とはテキストメッセージで会話して」「情報は発信するもの」と考えている世代が、 「名作は読むもの」「会話は対面か電話でするもの」「情報はきちんと受け取るもの」という世代と出会って間もなく、「最近の若いモンはコミュニケーション能力がない」というレッテルを貼られるのだから、