連載 インストラクショナルデザイナーがゆく 第 38回 今年のASTDで感じた 人材育成の“3D化”
今年最もChangeしたのはテーマではなく学びのスタイル
オバマ大統領の地元、イリノイ州シカゴで開催された今年のASTD。5 月中旬だというのに冬物のコートが手放せない寒さの中、会場となったミシガン湖畔のマコーミック・プレイスには、全米から約6500人、海外から約1800人の人材育成のプロフェッショナルが集合した。
昨年は、世界同時不況と新型インフルエンザのダブルショックで、ちょっと元気がなかったが、今年は一変。人材を取り巻く環境が「Change!」しているという期待からか、参加者の表情にはワクワク感があふれていた。
ソウル大学のリー教授も会って早々、「韓国から今年は400人も来てるんですよぉ」と胸を張った。そして、「この夏にはカンボジアの人材育成を支援する国際プロジェクトもスタートするんですよ。ますます忙しくなるなぁ」とさらに自慢げだ。こうしたグローバル化の波に合わせて、最近はクロスカルチャー研修プログラム開発も盛んで、新たにADDPIE(アドパイ:インストラクショナルデザインの新しいモデル)技法も開発したという。
振り返って我が日本の参加者数は、昨年並みの約100人。規模も自慢の種も、残念ながらちょっと差を付けられて、ここはさりげなく話題を変えるしかない。そこで、「今年のオフィシャルテーマ『Find your Value』(あなたにとっての価値を発見しよう)って、ちょっと漠然としているわね」と話していたら、そこに現れたのがASTD のチェアマン、アルフレッド・カストロ氏。氏の解説によると、実はこれ、「Find your Inspiration」「Find your Passion」との3 点セットのコピーなんだそうな。つなげてみると、「自分のひらめき(あるいはアイデア)を見逃さずに、情熱(あるいは信念)を持ってそれを活用し、あなただけの新たな価値をゲットしよう!」という人材育成担当者への応援メッセージになる。