TOPIC-② 助成金制度活用の解説と事例 ~知ると得をする!~ 研修を充実させる助成金制度活用
経済環境が不透明な中でも社員教育に力を入れたいと考える企業は多い。
しかし、社外研修の導入など、教育費については見直しを求められているのが現状だ。
そうした企業の悩みを解決する糸口となるのが、独立行政法人 雇用・能力開発機構が実施する「キャリア形成促進助成金制度」だ。
同制度の概要の説明と、実際に制度を活用している近代化学の事例を紹介する。
キャリア形成促進助成金制度のカンタン解説
小島 聖子氏
日本能率協会マネジメントセンター
研修ラーニング事業本部 販売促進部
「キャリア形成促進助成金」とは、各種研修など、企業が労働者に対して行う教育活動の費用を、国が助成するというもの。
独立行政法人 雇用・能力開発機構が窓口となっている同制度は、①労働者のキャリア形成を促進するための自発的職業能力開発を促す、②職業能力開発に取り組む事業主を支援するといった目的で運営されている。
本制度は雇用保険でまかなわれているため、「雇用保険を支払っている」「過去2 年間を超えて労働保険を滞納していない」「過去3 年間に助成金を不正受給していない」企業であれば、どの企業でも申請できるものだ。ぜひ、多くの企業に利用して欲しい。
助成金の種類と対象となる教育について
キャリア形成促進助成金制度は全部で6 種類(図表1 参照)。
この中で最も利用されているのが、中小企業が対象となる「対象職業訓練」。これは、Off-JT での訓練が基本要件となっている他、訓練に要した経費、研修中に社員に支払うべき賃金ともに助成額は3 分の1 相当に定められている。
また大企業が助成対象となるものに、「対象認定実習併用職業訓練」がある。これは、新卒者に対して、OJTとOff-JT 訓練を組み合わせて実施するものが該当する。就業時間に占めるOff-JT の割合を2 割以上8 割以下にするなどの要件が定められている。
ここで注意して欲しいのは、一般的に社会人として必要な接遇・マナー、社長講話や自社商品・サービスなどの事業の一環として行われる研修は、本制度の対象外となっていることだ。
詳細は、各自治体の雇用・能力開発機構の都道府県センターや職業能力開発促進センターへ、自社で予定している研修が該当するか、問い合わせることをお勧めしたい。