現状 アンケートから見る内定者教育と採用の現状 今こそ内定者教育と採用、 採用と育成の連動を見直す時
編集部では今回の特集に先立ち、弊誌取材協力者を中心にアンケートを実施し内定者教育と採用活動について現状把握を試みた。
そこからは、座学を中心とした内定者教育を行っている企業が多いこと、採用と育成の「連動」と「連携」は、今後も掘り下げていくべきテーマであることが見えてきた。
今回の特集は、「人材育成の始まり」である内定者教育の重要性、そして採用と育成を一連の流れとしてともに考えることを訴えるものである。そこで編集部では、内定者教育と採用に関するアンケートを実施し、現状把握を試みた。協力企業の内訳等、基本情報は図表1、2 の通りである。
最初に、内定者教育の実施状況について聞いたところ(図表3)、限られた回答数ではあるが、現在、内定者教育を行っている企業は82% と、内定者教育を行う企業が主流という結果が出た。しかし行っていない企業も18% と、決して少なくない。内定者教育を行っていない企業の理由としては、「学生生活を悔いのないように過ごしてもらいたい」という「学生生活充実派」と、「国家試験に合格してもらわないと入社もできない」という、「専門性必須派」に分かれるようだ。
内定者教育を行っている企業は、そもそもどういった目的で行っているのだろうか(図表4、複数回答)。「入社前に基本的な能力を身につけておいてもらうため」「学生から社会人へと意識を変えてもらうため」の2 つが特に多く、「会社と内定者の関係づくりのため」「内定辞退抑制のため」「同期同士の関係づくりのため」と続く。その他には、「資格試験の事前学習」「消費者目線の大切さを認識してもらう」「入社後のギャップを少なくしてもらうため」という目的も挙げられた。過去主流であった内定辞退を抑制するという目的よりも、入社する前の時間を有効活用し、基本的な知識の学習や、社会人への意識づけを行おうという意図が見て取れる。
実際に内定者教育として行われていることの1 位は「通信教育」、2 位が「課題を与えてレポート提出」、3 位が「研修(講演・勉強会含む)」、4 位が「書籍」、5 位が「e ラーニング」であった(図表5、複数回答)。インターンや事業所見学などの現場での体験型学習よりも、じっくりと机に向かって学習するものが多くなっている。そして、こうして行っている内定者教育の効果を、約9 割(88%)の企業が「得られている」と感じている(「まあまあ得られている」も含む)。