JMAM 通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告 TOWA 「面白さ」と「お得感」で、 内発的な学習意欲を掻き立てる
「学ぶ風土」を醸成している組織に贈られる「JMAM通信教育優秀企業賞」。2017年度は2社が受賞した。
今回はそのうちの1社、モノづくり企業として国内外で事業を展開するTOWA株式会社を取り上げる。
同社は長年自己啓発制度として通信教育を取り入れており、数々の工夫によって高い受講率を実現してきた。このような実績を生んだTOWAの自己啓発支援、通信教育に関する考えを取材した。
意欲を高める環境づくり
■興味に応えるコースラインナップ
TOWAは半導体製造装置や超精密金型等の研究から開発、設計、販売、サービスまでを一貫して手掛け、「世の中にないもの」を開発することでその存在感を世界中に広く示している。社員の3割以上が設計職という、開発型の企業である同社ならではの社風といえるのが、チャレンジ精神だ。
「当社には新しいことに挑戦しようという社風があり、半導体製造装置などの製品開発に活きています。こうした考え方は毎年配布される通信教育のガイドブックに掲載するコースラインナップにも反映されています。例えば、設計職でも設計以外のことを勉強してほしいと考えており、語学や簿記など、たとえ今の仕事に直結しない受講であっても、あえて歓迎しています。また、業界、社員の特徴・興味に合わせて毎年ラインナップの見直しを行い、あらゆる社員に『面白い』と感じてもらえるようバラエティに富んだコースの採用に力を入れています」と、総務部次長兼人事課課長の村田浩氏は同社の自己啓発支援の姿勢を語る。
通信教育には、毎年200コースが用意されるが、前年の受講実績に基づき新コースを採用するなどして、毎年30コース程度が新たなラインナップに加えられる。
「ガイドブックを開いた時に『去年と一緒』と感じたら、それだけで興味を失ってしまうでしょう。そこで、それを防ぎ、受講意欲を高めるため、数多くの新コースを入れて『New』のマークを付け、すぐに分かるようにするなどの細かい工夫もしています」(村田氏、以下同)
また、新入社員や中堅社員などの階層別におすすめマークを付け、コース選定のサポートをしている。
「いかにこちらがヒントを用意してあげるかが重要で、技術系や製造系といった分野ごとの特色も参考にして、ラインナップの充実に取り組んでいます。近年は、『今は設計職だけど、いずれは営業職に就きたい』といった、キャリアプランを立てる社員が増加傾向にあります。将来の方向性を考えるうえでも役に立つようなコースを揃え、キャリアプランに合わせた学習ができるように配慮しています」
村田氏自身がさまざまな部署で働いてきた経験を踏まえてコースの選定に取り組んできた結果、社員からは「ラインナップが面白くなってきた」と評価され、実際に受講者数が増加している。コース数の充実とあわせ、面白さへのこだわりが成功の秘訣といえる。
■徹底的にハードルを下げる
自己啓発活性化のための工夫は、通信教育のコースラインナップだけにとどまらない。階層別教育や機能別教育など、多様な教育制度を備えている同社では、新卒内定時期から通信教育を導入すると共に、全社員を対象に、毎年2回の受講機会を設けている。
「通信教育は、最初にどう出合うかが重要です。通信教育に限らず、知らないことには足を踏み出しにくいものです。そこで当社では、最初は昇格の要件として指名受講するようにしています。たとえ仕方なく受講したものであっても、最後まで取り組むことで、通信教育がどういうものかを体験・理解することができ、自然と次回からの受講のしやすさにつながっていきます」
加えて、期間内の修了者には受講料の8割、優秀修了者には全額を補助したり、検定や資格取得につながるコースも積極的に導入して、合格者には受験料の補助や金券を支給して支援している。
もう一つの大きな工夫はグループ受講だ。グループのメンバー全員が期間内に修了すると、各々に2千円分の図書カードが配布される。