企業の研修施設に突撃! 研修効果を高める ラーニングスペース 第4回 長瀬産業
「空間設計」は、社員の学びを促進する重要な要素のひとつである―。そう語
るのは、オフィス学を研究する東京大学大学院経済学研究科准教授の稲水伸行
氏である。特に企業が保有する研修施設には、研修効果を高め、学びを促進する
工夫があるはずだ。そこで本連載では稲水准教授が企業の研修施設をめぐり、
研修効果を高める工夫について解説する。今回は、長瀬産業の「ナガセグローバ
ル人財開発センター」を訪ねた。
ナガセグローバル人財開発センター
テーマは“コミュニケーション”
今回訪れたナガセグローバル人財開発センターは、北参道駅からほど近い住宅街の中にあります。災害時のバックアップオフィスとしての役割も担えるようにと、都心に近く比較的標高が高い場所を選んでつくられたそうです。落ち着きのある外観は、まるで図書館のよう(写真1)。
「周りが住宅街なので、圧迫感を与えないように上層階をセットバックさせたデザインが採用されました。低層部の外壁は、1928 年に建てられた大阪本社本館の外壁のスクラッチタイルを再現しています」(人事総務部 総務課 課統括 櫻井康雄氏)
2014 年4月に開業したこの施設には、宿泊施設と単身者用社宅も備えられており、同年のグッドデザイン賞を受賞しています。人事総務部主催の社員研修の他、部門単位での戦略会議や商品説明会、採用活動など幅広い用途で使われています。
「この施設のテーマは『コミュニケーション』です。海外の拠点が増えるにつれグループとしての一体感が薄れていくのではないかという懸念があったので、日本に集まり考え方を共有する場をつくりたいと考えました」(人事総務サービス本部 総務サービス部門部門長 古瀬誠直氏)
コミュニケーションを促進させたり、同社を知ってもらう仕組みを用意しているということです。早速、拝見していきましょう。