企業事例 富士通エフ・アイ・ピー 次期幹部社員の選抜と育成 育成重視にシフトした アセスメントセンターの活用法
データセンターを基盤に、クラウド時代のサービス・ソリューションを提供する富士通エフ・アイ・ピー。同社では、次期幹部社員の選抜において、日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)が提供する「アセスメントセンター」を10年以上にわたり活用している。最近ではさらに、育成を重視した新たな取り組みを始めているという。その背景やアセスメントセンターの特長について、同社の坂井康弘氏、川尻雅之氏、川村祐美氏に聞いた。
選抜から育成重視へ
富士通エフ・アイ・ピーの次期幹部社員の選抜は、約半年の研修(S1研修)を通じて行われる。幹部社員候補者は、研修前にまず多面診断を受け、アセスメント研修に臨む(図)。その後、アセスメント結果のフィードバックと研修を受けて自らの強み・改善点を振り返り、アクションレポートに反映。職場実践の中で強みの強化・改善点の克服に取り組み、アクションプランの発表を経て、総合的にマネジャーとしての登用が判断される。
S1研修の冒頭で行っている研修が、JMAMのアセスメントセンターだ。アセスメントセンターとは、マネジメント適性を測る人材アセスメントの技法で、管理者が遭遇する場面を模したシミュレーション演習を通じて、マネジメントスキルのレベルや強み・弱みを評価することができる。富士通エフ・アイ・ピーでは、職場マネジメント場面のケース演習やグループディスカッション、面談ロールプレイングなどを用いて、候補者のマネジメントスキルを把握している。
「社内で優秀かだけではなく、世の中のマネジャーと比較して当社の幹部社員候補者がどういうレベルにあるのか、その確認のために10年以上前になりますが導入しました」(坂井氏)
2015年まで、アセスメントセンターはS1研修の最後に実施していたという。2015年以前は、通信教育から始まり、アクションレポートやアクションプランの発表ごとで選抜を行い、最後にアセスメントセンターを受けて判定という流れだった。それを2016年から、最初にアセスメントセンターを実施するというやり方に変更したのである。その背景について坂井氏は話す。
「以前はアセスメントが最後でしたので、長く使っている間に、審査にパスすることがゴールになってしまっていないかという懸念が出てきました。また、合格不合格に一喜一憂してしまって、アセスメント結果の振り返りや活用が十分にできていないのではないか、という問題意識もありました。そこで、選抜から育成重視へと切り口を変えられないだろうかと考えたのです」