第32回 “自転車通勤” の現状 藤原英理氏 あおば社会保険労務士法人 代表
働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。
第32回 “ 自転車通勤” の現状
健康志向や職住近接への希望の高まりから、ここ数年で自転車で通勤する従業員が増えている。ところが最近、自転車への警察の取り締まりが厳しくなっていると聞く。電車通勤の人が最寄駅まで自転車で移動しているケースもあり、通勤に自転車を利用している人は予想以上に多いのかもしれない。会社として規制や指導が必要だろうか。
自転車通勤・通学の現状
従業員の自転車通勤については、以前もこの連載で取り上げました(2014 年2 月号「管理職のもやもや」)。当時も、健康志向とエコ意識の高まり、そして電動アシスト自転車の普及などから、自転車通勤がちょっとしたブームになった時期でしたが、まだ法制度や交通事情が追いついていない状況でした。その後数年経って、自転車による交通事故や危険運転の問題などもあり、道路交通法が改正され、自転車通勤を取り巻く状況も変わってきました。現状はどうなっているのでしょうか。
日本の1人当たりの自転車保有台数は0.67 台、通勤・通学に自転車のみ利用している人の割合は13%となっており、そのどちらの数字も国際的に見て高い水準にあります。また、自転車の販売台数は過去10 年間で伸びており、自転車を通勤・通学の足として活用する人は、さらに増えるだろうと予想されます。
しかしながら、同じ10 年間で自転車対歩行者の事故件数は3割増となっているうえに、自転車乗用中の死亡事故発生率が国際的に見て高い傾向にあり、安全面での問題が指摘されています※。