企業の研修施設に突撃! 研修効果を高める ラーニングスペース 第3回 住友商事
「空間設計」は、社員の学びを促進する重要な要素のひとつである―。そう語
るのは、オフィス学を研究する東京大学大学院経済学研究科准教授の稲水伸行
氏である。特に企業が保有する研修施設には、研修効果を高め、学びを促進する
工夫があるはずだ。そこで本連載では稲水准教授が企業の研修施設をめぐり、
研修効果を高める工夫について解説する。今回は、住友商事の「住友商事グロー
バル人材開発センター」を訪ねた。
住友商事グローバル人材開発センター
好立地を活かし、柔軟に利用
「『グローバル人材育成の拠点』『価値創造空間』『環境への配慮/ BCP拠点』という3つのコンセプトを掲げて、2012 年に竣工しました。特に、コミュニケーションを取りやすい空間づくりに力を入れています」
そう話すのは、住友商事人事部人材開発チーム課長代理の唐澤圭氏。
今回訪れた住友商事グローバル人材開発センターがそびえるのは、本社にほど近い銀座7丁目です(写真1)。築地や銀座など江戸文化の中心地へのアクセスも良好で、なるほど、これは海外から訪れるスタッフにも喜ばれるでしょう。
建物は地下1階、地上9階建てで、2階と3階が研修室、4階が食堂、そして5階から9階が宿泊施設になっています。また、テラコッタルーバー※でつくられた外壁も特徴的。茶色のボーダー柄のデザインは、住友グループの起源である別子銅山に由来し、銅の積層をイメージしているそうです。
「当社では、海外スタッフを東京に呼んで実施するナショナルスタッフ研修や人事部主催の階層別研修など、年間約300 本の研修を行っています。当センターは、そうした社内研修に加え、部署単位で合宿を行ったりグループ会社で利用したりと、自由度の高い使い方をしています」(唐澤氏)
では早速、施設内を見学していきましょう。
※テラコッタルーバー……焼土材を用いた細長い板を、隙間を空けて平行に組んだもの。