CASE 2 COMPASS 学びの時間効率を上げる! “個人に最適な問題”を処方し続ける AI型学習
私の先生は、人工知能―そんな時代がとうとう現実のものになった。
世界初の人工知能型教材を手掛けるCOMPASSでは、
AI型タブレット教材を使った学習教室を運営する。
現在は小中学生向けの算数・数学を展開中だ。
人が指導するよりも格段に習熟速度が速まるという、その手法を尋ねた。
●概要 AIが最適な問題を選ぶ
中学数学1年分のカリキュラムを、速くてわずか2週間で習得できるプログラムを提供する学習教室があるという。どれだけ指導力の高い講師が揃っているのかと思いきや、カリスマ講師の姿はない。子どもが手にするのは1台のタブレット、授業をナビゲートするのは、AIだった……。
東京都に本社を置くCOMPASSでは、世界で初めての人工知能型教材「Qubena(キュビナ)」を開発、算数・数学の教育サービスを提供している。全国の学習塾や大手予備校が採用している他、私立の学校や一部の公共教育の現場でも補習授業に試験的に導入するなど、注目を集めている教材だ。またCOMPASS自体も直営校「Qubenaアカデミー」でQubenaによる授業を行う。
この教材を開発した同社CEOの神野元基氏は、特徴について次のように語る。
「従来の学習と最も異なるのは、一人ひとりに対し最適化された問題を、常に提供し続けられること。学習のムダが少なく、スピーディーな授業を行えます。講師の指導能力に依拠しない点もユニークなところといえます」
講師のいない授業とは、にわかに想像し難いが、AIを使った学びとは、果たしてどのようなものなのか。同社の例から、最新事情を探ってみた。
●授業の進め方 それぞれのペースで問題を解く
現在Qubenaアカデミーでは、小学4年生~中学3年生を対象に、講座を開く。1コマ50 分の授業が週2回、合計、月に8回の通学が原則だ。教室は土日を除き、夕方から1日につき4コマ開講している。生徒は部活やその他の習い事など自分のスケジュールに合わせ、あらかじめ通学日を予約しておく。個別指導なので、学年を問わずさまざまな子どもたちが、同じクラスに集まる。
教室にやって来た生徒は、席に着くと、かばんからタブレットを取り出す。それぞれアプリを起動し、準備ができた人から問題を解き始めていく。
授業中は実に静かだ。みんなタブレットに表示される問題を黙々と解いていく。易し過ぎもせず、全く歯が立たないわけでもない、手応えのある問題に意識を集中させる。
カリキュラムは、公立の学校でも使われる標準的な教科書に準拠している。だが、どのタイミングでどの学年のカリキュラムに取り組むかは、子どもの習熟度次第だ。そのため、中学生の内容に取り組む小学生もいるという。
問題は一問一答式で、答えは記述式。ミソは解答欄とは別に設けられた、途中式を書くスペースである(図1)。