TOPIC HR-Solution Contestレポート 働き方改革×テクノロジーの アイデア最前線
経済産業省及びIoT推進ラボが主催する「HR-Solution Contest」は、
最新テクノロジーを活用して、人事・労務上にまつわる課題を解決する優れたアイデアを競うもので、2017年5~6月に募集。
103件の応募の中から書類審査及び非公開プレゼンテーション審査を経て8件のファイナリストが選ばれた。
本稿では、7月25日に行われた最終審査のプレゼン内容と審査結果を報告する。
現在、どのようなテクノロジーが人事・人材育成や働き方改革の分野に活用されているかが概観できる。
【プレゼンテーション1】 デジタル面接システム HireVue
【発表者】
タレンタ株式会社 SVP,CFO 中村 究氏
最初の面接までの調整をゼロに
従来の採用業務では、面接までの日程調整や候補者の資質の把握等々に時間がかかり、人事部を多忙にしている。そこで薦めたいのがHireVue(ハイヤービュー)である。
これは、録画面接機能に人工知能を合わせた、いつでもどこでも候補者が面接に参加できるソリューションだ。候補者がエントリーをすると面接への招待状が届き、用意された質問に自分のスマートフォンから動画を録画して回答する。主な特徴は以下の4点である。
①選考のスピードを4倍に、工数を70%削減することによって候補者の離脱を防止し、安定的な人材確保を低コストで実現
②動画という豊富な情報によって、早期に人物像の把握ができ、主要な候補者にだけ質の高い選考を行うことが可能になる
③さまざまな候補者の回答の録画を、採用チーム全体で何度も見直すことにより、採用の目線合わせや公平な採否判断ができる
④工数削減によって生まれた時間で、内定者辞退の抑制など、本来業務に集中できる
HireVueには過去に採用・不採用になった人の録画データが蓄積されている。人工知能を使って話の内容や声の張り具合などの情報を2万のデータポイントから抽出することで、候補者と会社とのカルチャーフィットを予測。パーセンテージの高い順にランクづけする機能もついている。これらの機能によって、地方企業の人材採用・就業機会の均等化、さらには日本の人事部の労働時間短縮をめざしたい。
【プレゼンテーション2】AIによるAIに負けない人材育成
【発表者】
広島大学
産学・地域連携センター
新産業創出・教育部門 1st ペンギン倶楽部 主宰
佐々木 宏氏
個別性のあるAIコーチングを実現
我々は、言われたことを右から左へ流すような受動的な人材を、コーチングによって能動的に変えていこうと考え、「AIコーチング」を開発した。現在はビジネスの領域に先駆け、中高生向けのキャリア教育用としてAIコーチングの提供に着手している。アバターにAIが搭載されており、クライアントの1週間前の行動計画を把握しているため、個別性のある対話ができる。
【会話例】
AI:前回は、進路について理科の先生に相談する行動計画だったよね。どうだった?
クライアント:先生に相談したら、広島大学に○○先生という方がいるそうなんだ。
AI:そうなんだ。それでどういう気づきがあったの?
このような形である。これまでのAIの言語処理はクライアントの問いに対して答えを提示するのみだったが、このサービスではAIの問いにクライアントが答え、それに対してさらにAIが問いを発し続ける。これを続けると人間の思考力は向上し、AIによってAIに負けない人材育成をすることが可能になる。この装置を使って時間や場所の制限なく、全ての人がAIコーチングを受けられる環境を整備したいと考えている。
【プレゼンテーション3】mitsucariを使った定量的面接手法
【発表者】
株式会社ミライセルフ
代表取締役CEO 表 孝憲氏