第31回 勤務中の“おやつ”の取り扱いは? 藤原英理氏 あおば社会保険労務士法人 代表
働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。
第31回 勤務中の“ おやつ” の取り扱いは?
仕事中によくお菓子を食べている社員がいる。1人で飴やガムを食べるのならいいが、時にはスナック菓子を仲間で分け合ったりしていて、私語も多くなりがちだ。仕事の成果はきちんと出しているし、厳しく取り締まるようなことでもないと思うが、タイムカードを切って休憩時間にさせたほうがいい気もする。どうすればいいだろうか。
休憩時間に当たるかどうか
勤務中のおやつや雑談など、ちょっとした息抜きや気分転換がどの程度許されるかというのは、実はなかなか難しい問題です。法律的な観点からは、労働時間とは「会社の指揮命令下にある時間」のことをいうので、業務時間中にお菓子を食べたり雑談したりというひと時は、必ずしも休憩時間とは言い切れないからです。逆に休憩時間は、労働者が権利として労働から離れられる時間ですので、休憩中の人に業務の指示などをすることはできません。
つまり、デスクでお菓子を食べて小休止する時間を「休憩時間」と見なすのであれば、その従業員には仕事の指示や依頼をできないことになります。しかし、こうした小休止の時に仕事の話をすることも多いでしょうから、これを休憩時間と見なすことにも疑問が残ります。
就業時間と休憩時間の区分でよく問題になるのが喫煙ですが、業務時間中であれば、喫煙スペースにタバコを吸いに行く時間も当然、休憩時間ではなく、業務時間になります。おそらく、多くの喫煙者の方は、喫煙スペースへの移動中や喫煙中に仕事のことを考えていたり、携帯電話で取引先と話していたり、喫煙中に呼び出されてすぐにデスクに戻ったりするでしょうから、休憩時間とは捉えていないのではないでしょうか。
喫煙に行く時間については全てを休憩時間とするルールを設けている職場もありますが、業務時間と休憩時間を厳密に分けて実施するのは簡単なことではありません。