CASE 1 PwCコンサルティング 研修、ジョブローテーション、フィードバック 総合的な仕組みで 思考力と伝える力を鍛え、伸ばす
企業の経営課題を解決するPwCコンサルティングにおいて、論理的な思考力はまさにコアスキルだ。
したがって、新入社員はハードな研修だけでなく、さまざまなシーンにおいて総合的にトレーニングを受けるという。
充実した育成の仕組みを取材した。
●前提 「考えて伝える」が仕事の基本
世界157カ国に22万人以上の従業員を有する世界最大級のプロフェッショナルサービスネットワーク、PwC。日本におけるコンサルティングファームであるPwCコンサルティング合同会社は、PwCのグローバルネットワークが持つ幅広い業界専門性やナレッジを活用すると共に、PwC Japanグループの各分野のスペシャリストと緊密に連携し、日本企業の経営課題解決をサポートしている。
人事部コンサルティングデベロップメントリーダーの沖依子氏は、社員に求められるスキルについて、こう話す。「プロフェッショナルファームとしては、コミュニケーション力は不可欠です。ただ理論的な知識をインプットして終わりではなく、それをお客様や仲間に伝え、形にして、物事を動かしていかねばなりません。その時に大事な力は2つあります。1つは論理的に考える力、もう1つは共感的に伝える力です。どちらが欠けてもいけないし、両方があってこそ、それぞれの力が活きてくるのです」
例えば、クライアントとしっかりとコミュニケーションをとるためには、自分が伝える内容に矛盾や漏れがないかなど、論理的に思考しなければならない。ただし、それだけでうまく意思疎通できるわけではない。お互いの関係性を構築するための伝える力、いわゆるヒューマンスキルも同じように求められる。
PwCでは「社会における信頼を構築し、重要な問題を解決する」ことをPurpose(存在意義)として掲げているが、それを実現していくうえでも、2つのスキルは大切だ。
「いずれも重要というよりも、むしろなくてはならない、あって当然のものと位置づけています。特に分析的な思考力や論理的な思考力は、当社の人材に必要なビジネス能力(BusinessAcumen)として明記しているほどです」(沖氏)
そこで同社では、双方のスキルの養成・向上のため、日頃からさまざまな取り組みを行っているという。以下、紹介していこう。
●研修 若いうちに習慣化させる
同社のコンサルタントには、アソシエイト、シニアアソシエイト、マネージャー、シニアマネージャー、ディレクター、パートナーという6つの職階がある。新卒の場合は、アソシエイトとして入社するが、論理的に考えたり、分析したりする力の養成や向上については、入社してすぐのアソシエイトの段階から、各種の教育プログラムの中に組み込んで、徹底した研修を行う(図1)。