OPINION2 左脳・右脳、それぞれの思考力を磨く! 個とチームで伸ばす 「考え抜く技」
問題を解決する方法には型があり、個人としてはもちろん、
組織として考え抜く力を磨くことが重要だと語る渡辺健介氏。
ロジカルシンキングやイノベーティブシンキングを国内企業で浸透させるためにはどんな姿勢や考え方、取り組みが有効なのか聞いた。
難題の多い今こそ必要な力
考え抜く力は時代を問わず求められるものだが、グローバル競争が激化し、技術革新も著しい昨今では、ますます必須のスキルとなっている。単に従来の方法を踏襲していては生き残れないからだ。
そんな中、日本人が競争に勝ち続けるためには、勤勉さや協調性といった強みに加え、論理をつかさどる左脳、ひらめきなどを生む右脳をバランスよく使いながら、主体的に考える力を磨く必要がある。日本の教育制度は、最近ようやくアクティブラーニング(生徒が主体性を持って能動的に思考する参加型の学習)が注目されるようになってきたとはいえ、大学入試に代表されるように、まだまだ知識偏重型である。
答えのない問題に向き合い、解決策を導き出すためには、知識に加え、自分の頭で考え抜く力が不可欠だ。
私自身がこのことを痛感したのは、米国で過ごした高校生の頃だった。例えば、高校の歴史の授業ではキューバ危機や公民権運動について学んだが、映像や小説を題材に、何が起きたか、誰がどうするべきだったのかについて、多面的に議論したり文章にしたりした。
幼い頃から考え抜くトレーニングを重ねてきたクラスメートたちと机を並べたこの体験は、私にとってかなり刺激的なものだった。以来、自分の頭で考え抜き、行動することを心掛けるようになった。
真の「和」とは同ずることではない
知識偏重型の教育は、今後AI(人工知能)の活用が進むほど、意味を成さなくなる。機械には生み出せない価値を人が発揮しなければ、その労働力は必要とされなくなってしまう、という危機感が広がりつつある。
一方で、世界の教育関係者らの国際団体、ATC21sが定めた「21世紀型スキル」が広まるにつれて、日本でも問題解決力や批判的思考力がメディアで取り上げられ、一般的に重要性が理解されるようになってきた。