OPINION1 まずは「違和感」を自分の言葉で書き出すクセを あきらめない人間力で、 問題を見つけ、解く力の鍛え方
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あきらめない人間力で、
問題を見つけ、解く力の鍛え方](/wp-content/uploads/temp_image/10379/1505201337.png)
「意識的な努力と訓練の積み重ねで、誰でも考える力を伸ばすことができる」
そう語る上田氏。物理学の研究において、自らとことん考え抜く経験を重ねてきた同氏は、それを他人に伝授するため、考える力を鍛える訓練法を導き出した。
人生を楽しむため、豊かにするためにも欠かせない、その手法とは。
考える力の鍛錬は筋トレと同じ
突然だが、自分が「筋トレ」を始める様子を想像してみてほしい。筋トレは言うまでもなく、身体を鍛える方法のひとつである。自分の身体に合ったトレーニングメニューを少しずつこなすことで、筋力は徐々にアップする。何もしなければ、身体は衰えるばかりだ。
実は「考える力」も同じである。他の人が疑問に思わないところ、周囲が常識だと考えているところに問題点を見いだし、根本までさかのぼって問題の本質を突き止める。考えることは、新たな創造を生み出すための重要なプロセスといえるだろう。だがこの作業をいきなりやろうとしても、うまくいかない。なぜなら、考えるために必要な思考回路が脳内にできていないからだ。
私たち日本人の能力は、子どもの頃からマニュアル的な処理力重視で鍛えられてきた。私たちが“優秀さ”の指標としていたものは、1つの答えに絞られる問題を、できるだけ短時間で、効率よく解きこなす力だ。その最たる例が入試問題である。
したがって、毎日できることから「考える」トレーニングを積み、新しい脳の使い方を少しずつ身につけ、考えるための思考回路をつくっていく必要がある。
私は「考える力」は3つの要素で構成されると考えている(図1)。
①問題を見つける力
考える力というと、「問題を解く力」を連想する人が多いかもしれないが、考えることの始まりは、これまで意識されなかった潜在的な問題を発見することにある。また問題解決を阻む要素を見いだすことも、「問題を見つける力」の重要な要素である。
② 解く力
①で見つけた問題を、解決に導くための能力である。誰も考えたこともないような問題には、当然参考になる解き方も存在しない。そのため解き方についても自分自身で“考える”必要がある。