第30回 「いつでもどこでも」時代の労働時間管理 藤原英理氏 あおば社会保険労務士法人 代表
働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。
第30回 「いつでもどこでも」時代の労働時間管理
部下の有給休暇中に取引先から問い合わせが来た。本人しか把握していない業務だったので、申し訳ないと思いつつも、連絡を取り対応をお願いした。話を聞いてみると、有給休暇に限らず休日でも、取引先から連絡が来れば対応しているらしい。本人としてはさほど負担には感じていないようだが、問題はないのだろうか。
勤務時間外の対応も「業務」
携帯電話やメールが社会に定着してかなりの年数が経ちますが、勤務時間外に、部下に電話やメールによる業務の連絡や指示を出した経験のある方は多いのではないでしょうか。しかしながら、勤務時間外の部下に連絡する場合、どのくらい緊急な用件なのか、それは帰宅後や休日にまで連絡する必要がある性質のものなのか、といったことを細かくルール化して対応している企業は、必ずしも多くないようです。
まず、このケースの場合、業務連絡を受けている時間やその後の対応の時間は、「業務」に当たるため、労働時間となり、残業代を支払う必要が生じます。また、この部下が直接顧客とやり取りをした場合も同様に労働時間となり、休日や深夜の対応であれば、休日手当や深夜手当も支払わなければなりません。
つまり、どういった対応にどれぐらいの時間をかけたのか、報告してもらい、給与を支払う必要が出てくるということです。