寺田佳子のまなまな 第21回 特定非営利活動法人NPOサプライズ 代表理事 飯倉清太さんに聞く ゴミ拾いから始めるまちづくり、人づくり
「誰もやらないのなら、自分でやればいい!」
今回のまなまなのお相手、飯倉清太さんは、実にしなやかで屈託のない精神の持ち主です。
地元・静岡県伊豆の課題解決に取り組み、ボランティア活動、オフィスつきの移住定住拠点の開設など、多彩な活動を展開してきました。
彼の人生を変えたのは、道端に落ちていた1本の空き缶でした―。
行動する面白さに目覚める
NPOの代表理事、内閣官房地域活性化伝道師、総務省地域力創造アドバイザー、静岡大学非常勤講師、移住者向けソーシャルアパートメントのプロジェクトデザイナー、『伊豆食べる通信』編集長……。今回の「まなまな」のお相手、飯倉清太さんは、実に多様な肩書を持ち、ローカルビジネス、地方創生プロジェクトデザインのスペシャリストとして伊豆を拠点に日本中を飛び回る。しかし、わずか9年前までは、「伊豆のアイスクリーム屋のオヤジでした(笑)」という。21 歳で地元の特産「生わさび」を使ったアイスの店を起業。経営も順調だった飯倉さんに、いったい何が起こったのだろう?
2008 年のある日のこと。店先に空き缶が捨てられているのを見つけ、思わず、
「こんなところにゴミを捨てるなんて、ホントひどいよね」
というつぶやきと写真をブログにUPした。すると、こんなコメントが来た。
「だったら、自分で拾えばいいじゃん」それを読んだ飯倉さんのリアクションが興味深い。カチンときたのかと思いきや、
「確かに……」
そう、素直に納得したのである。
ブログやSNSの影響で、今や国民総評論家の時代である。多くの人が「あれはマズい、これじゃダメだ」と意見を発信するけれど、実際に行動する人は少ない。
「僕も、ゴミのことをブログに書くまでは、行政の対応について、『もっとああすればいいのになぁ』等と思うだけで、自分が何をすればいいのか分からなかったのです」
しかし、そのコメントで閃(ひらめ)いた。そうか、文句を言う前に、自分で拾えばいいんだ、と。
自分の立場や習慣に固執せず、あっさり「そうかもしれないなぁ」と視点を変えることができるこの“しなやかさ”と“屈託のなさ”。最近とみに注目される、優れた人材に必須の“アジャイル(俊敏さ、柔軟さ、軽やかさ)”なコンピテンシーが、どうやら飯倉さんの強みらしい。