おわりに シニアの活躍に不可欠なのは、 認める制度と本人・周囲の意識改革
シニア活躍のための3つの視点
「我々は、期待されていない」―。そう感じているシニアは、少なくない。「そんなことはない、シニアにも活躍してほしい」。企業やシニアの上司はそう答えるだろう。しかし、その期待を伝えるどころか、現状、シニアの雇用制度やシニアに対する周囲の態度は、「期待していない」というメッセージとなり、シニアに伝わっている。それでは、シニアが意欲的に働き、活躍することなど望めるはずがない。
シニアに活躍してもらうには、何が必要なのか。識者に話を聞くと、「仕組み・制度」「本人の意識」「組織の風土」という3つの視点から、意見が出てきた。一つずつ整理してみたい。
視点1:仕組み 頑張りを認め、必要とする仕組みを
・処遇に評価を反映させる
シニアの活躍にまず欠かせないのは、制度面の整備である。東京学芸大学の内田賢教授(OPINION1)はそのポイントを挙げるが、中でも重要なのは「評価」だろう。60 歳以降のシニアには、一律▲%、あるいは固定給のように給与を支払うケースが見られるが、これは「シニアに成果を期待していない」という表れだと捉えることもできる。人事考課を行い、頑張りを評価して処遇に反映させるというのは、意欲的に働いてもらうために不可欠なことだ。給与や賞与だけでなく、手当てや称号を与えるという方法もあるだろう。