めざせ☆経営型人事 書籍に学ぶビジネストレンド 第53回 企業を見る目を養う~成長企業から学ぶ人材トレンド
ビジネスのトレンドを知っておくことは、経営や人材を考えるビジネスパーソンにとって必須である。
本連載では、データバンクに勤め、1日1冊の読書を20年以上続けてきた情報のプロが、
最新のビジネストレンドと、それを自分のものにするためのお薦めの書籍を紹介する。
2017年5月30日、経済産業省から「新産業構造ビジョン」※1が公表された。「IoT、ビッグデータ、人工知能、ロボットに代表される技術革新によって、あらゆる構造的課題にチャレンジし、解決していく、そしてそれを経済成長にもつなげ、一人ひとりにとって、より豊かな社会を実現することを目的に策定した」という触れ込みの本報告書は、ぜひお目通しいただきたい。特に、「5. 新たな経済社会システムの構築 ⅳ.人材育成・活用システム」は参考にしていただけるだろう。
人事担当者は、「人材の目利き」としてさまざまな能力を有しておく必要があるが、時代の進化と共に、求められる知識・知見に変化が生じている。私は、今必要なのは「成長企業」を見る目を養うことだと考えている。
成長企業を注意深く観察していると、事業戦略上の先見の明があることはもとより、人材戦略が奏功し、成功をたぐり寄せた事例が多いことがよく分かる。
自社の人材育成のために他社事例を学ぶというのは重要な視点だが、そこに「成長企業」という切り口を加えて企業チェックをしていき、経営者や社員がどのような人材で構成されているのかを研究していくと面白い傾向が見つかるだろう。成長企業については、例えば①新規上場会社②スタートアップ(起業)③投資家の動向、を見るとよいだろう。情報源としては「東京IPO」※2 や「注目企業.com」※3のようなサイト、また書籍では『就職四季報』(東洋経済新報社)等が参考になる。
なぜこの企業は業績を伸ばしているのか? 注目されているのか? 顧客満足度が高いのか? こうした「なぜ」の先にはきっと「人材戦略」があるはずだ。
ここで人事担当者が読んでおきたい、成長企業関連書籍を分類してみよう。
①人事専門家による企業紹介本
②実務家による解説本
③海外企業の事例本