J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2016年11月号

おわりに バランスを取るヒントは どんな会社や社員にしたいか

学習効果の高い“デジアナ”の組み合わせ、バランスとは。「はじめに」(24ページ)の2つの問いを軸に、特集を振り返ろう。

①デジタルとアナログそれぞれのメリット・デメリットとは

“デジアナ”バランスを考えるうえでは、デジタルとアナログそれぞれのメリット・デメリットを把握する必要がある。OPINION1藤川大祐氏(千葉大学教育学部教授)は、デジタルには情報の伝達や再現性など多くの点で優位性があるが、ネットワーク環境に左右されることや、面積に制限がある点などがアナログに劣ると整理した(詳細は図参照)。

また、どちらもあくまでツールであり、学習効果を上げるうえで本当に重要なことは、学習しやすい状況をいかにつくるか、ということ。そして、どちらをどう活用するにしても、一次情報を収集・整理し、議論を構築し、批判的に検証する能力を身につけることが、社会を生きる力になる、と語った。

こうした力を、デジタルツールを用いて身につける教育を小中学校から行っているのが茨城県つくば市だ。市長の市原健一氏OPINION2)によれば、市ではICTによって育てたい能力を「4C(協働力、言語力、思考・判断力、知識・理解力)」と定めて環境を整備。学校と学校をつなぎ、電子黒板によるプレゼンテーションコンテストなどを通して、子どものうちから自分の言葉で語ったり、自ら課題を設定して解決したりする力を育んでいる。

■アナログ重視のIT企業

デジタルツールが普及し、多くの情報が、その場ですぐに手に入るようになった。非常に便利だが、明らかに情報過多だ。このような中、デジタルツールを使い続けていて、深く思考する力は本当に身につくのか。

IT企業のドリーム・アーツCASE1)で最高技術責任者を務める石田健亮氏は、情報洪水状態での、社員のアウトプットの質の低下を危惧し、あえてアナログを重視した「IT断食」教育を行っている。

具体的には、新入社員に半年で13冊のペースで書籍を読ませ、感想文を書かせる。また、ひたすら内省と役員との対話を、1日中続けることで、自分の思考のクセや特性を探る合宿。さらには、紙の地図を頼りに、チームで東京を回りながら課題をクリアしていくウォーキング企画や、顧客企業での現場体験も行う。

アナログづくしだが、もちろん全くデジタルを活用していないわけではない。情報セキュリティーなどの実務教育にはeラーニングをフル活用する。思考力より記憶力を駆使するような学習はI Tで学び、自分の知恵を絞るような基礎体力的学習は、アナログな方法で鍛えているのだ。

■デジタル積極活用のIT企業

一方、同じIT企業の日本ユニシスCASE2)は、研修や議論の際にデジタルツールを積極的に活用する。eラーニングでの反転学習やMOOCsの試験的導入、TV会議などによる遠隔地からのプロジェクト参加などである。

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