J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2016年04月号

業界別育成課題とポイント 資格試験と大学課程で 信頼される代理店・募集人を育む

製販分離――。損害保険業界は、保険商品を作る損保会社とそれを販売する損害保険代理店(募集人)が分かれているのが特徴だ。
総数約206万人という多数の募集人の人材育成は、どう進められているのか。
日本損害保険協会に聞いた。


岩崎 武氏 日本損害保険協会 募集・研修サービス部長

第2回取材団体
一般社団法人
日本損害保険協会
1946 年設立(前身の大日本聯合火災保険協会は1917 年設立)。損害保険会社を会員とする事業者団体で、業界の健全な発展と信頼性の向上を図ることにより、安心かつ安全な社会の形成に寄与することを目的に活動している。2012 年に一般社団法人に移行。
会員会社数:26 社(2015 年4 月現在)

[取材・文]=浜名 純  [写真]=菊池壯太

損保業界とビジネス環境

日本損害保険協会(以下、損保協会)では、昨今の日本と業界を取り巻く環境変化を鑑みて、2015年度に「第7次中期基本計画」を策定。2017年度までの3カ年にわたる取り組みとして、「超高齢社会」「新たなリスク」「グローバル化」「自然災害」「保険犯罪」「新たな募集態勢の構築」「消費者教育」などをキーワードとした重点課題を掲げた。

2番目の「新たなリスク」とは、技術革新により新技術が実用化されることで起こるさまざまな影響を指す。例えば、自動車の自動走行システムが普及すると交通の安全性が向上することが考えられるが、これにより自動車保険の在り方も大きく変化する可能性がある。

また、「保険犯罪」では組織的な犯罪の増加、手口の巧妙化が進んでおり、詐欺被害や不正請求排除のためのシステムづくりが重要となっている。

損保協会の募集・研修サービス部長の岩崎武氏は、業界を取り巻く変化の影響に関連して、こう述べる。

「“直扱”と呼ばれる保険の販売方法があります。損害保険会社が直接保険を募集する形態で、インターネットを活用した通信販売もこれに含まれます。2014年度は、この直扱による保険料の割合は8.1%しかありません。しかし、現在は小学校でパソコンを学ぶ時代ですから、今後、インターネットによる保険契約が大きく伸びることも考えられます。

さらに本年5月には改正保険業法が施行されます。同法では、保険を販売する募集人に募集プロセスの各段階で従来よりもきめ細かな対応を求めています。

つまり、さまざまな環境の変化に伴い、募集人に必要とされる知識・業務スキルも高度化しているということです。業界として、いかに募集人のレベルアップを図っていくのかが、大きな課題となっています」

損保ならではの代理店

損害保険代理店(以下、代理店)に属する募集人のレベルアップを図るための教育とはどんなものなのか。具体的な内容に入る前に、「代理店」と「募集人」の概要に触れておこう。

冒頭に述べたように損保業界では、損害保険を消費者に販売するのは各損害保険会社ではなく、代理店に属する募集人を通じて行うことが最も多くなっている。

2014年度末時点で代理店数は20万4990店。このうち保険商品の販売を専門に行う「専業代理店」は3万8691店で全体の18.9%。残り81.1%は、自動車販売店や整備工場、住宅販売会社、旅行代理店などがそれぞれに関連した保険を扱う「副業代理店」が占める。

これらの代理店に属している「募集人」は206万3081人にも上る(2014年度末現在)。代理店には損害保険会社との委託契約により、損害保険会社の代理人として契約者と保険契約を締結・成立させる権限が与えられている。

これに対し、生命保険会社の募集人の業務は「媒介」となっており、保険契約を締結する権限はない(*注:損害保険の場合も保険の種類などによって代理店の権限が「媒介」のケースもある)。

代理店の主な業務は、契約時の保険商品の勧誘、重要事項の説明・告知事項の受領、契約の意向確認、保険料の領収・領収証の発行、契約後の変更・解約手続きなどで、示談交渉や保険金支払い有無の決定は損害保険会社が行う。

試験制度の見直し

損害保険の募集に携わるには、消費者の利益を損なうことのないよう保険業法などの法律等に関する知識が必要であり、募集人は消費者に適切な情報を提供すると共に、重要事項を説明のうえ、契約者の意向に沿った保険を勧める立場にある。

業界では、1964年から損保協会が募集人に対し試験を実施し、保険募集の品質を担保してきたが、保険の自由化など業界動向の変化や法改正に対応しながら募集人のレベルアップを図るために試験制度を見直し、現在では、図1の①~⑤のような体系になっている。各試験・資格の概要について以下に細かく説明していく。

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