J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2016年04月号

Column 成熟社会とSNS文化が彼らを「大人しく」した! 今どきの若者との向き合い方

現在の若手社員が産声を上げた1990年代以降に起こった出来事といえば、バブル経済の崩壊にIT 革命、さらにはイラク戦争やリーマンショック、東日本大震災など、ショッキングなものばかり。
低成長時代に生まれ育った彼らの価値観や仕事観とは。
現代の若者の心をよく知る、原田曜平氏に聞いた。


原田曜平( はらだ ようへい)氏
博報堂ブランドデザイン 若者研究所 リーダー
1977年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、現職。
2003年JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『近頃の若者はなぜダメなのか』(光文社)、『さとり世代̶盗んだバイクで走り出さない若者たち』(角川書店)など。現在、テレビ番組『ZIP!』(日本テレビ系)、『新・情報7DAYSニュースキャスター』(TBS系)などでコメンテーターを務める。

[取材・文・写真]=田邉泰子

成熟社会特有の“まったり感”

今どきの若者は、大人しくて従順、まじめ、そして元気がないと言われるが、本当なのか。

入社以来、一貫して高校生や大学生、若手社会人など、多くの“若者”と向き合ってきた博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平氏は、次のように語る。

「元気がないというのは、その通りでしょう。私たちが社会人になった頃は、羽目を外したりやんちゃをしたり、ことあるごとに反抗したりといった若手社員も少なくありませんでした。しかしここ数年の若手社員の特徴というと、特に悪さや反抗をすることもなく、指示を出せばその通りに仕事をする、『良くも悪くも素直』というのが全体的な印象ではないでしょうか」(原田氏、以下同)

だが、上司や先輩たちが描くのは、いまだにエネルギッシュで生意気なかつての自分たちのような若者像。ギャップを感じるのも無理はない。

では、2010年代の若者像を築いてきたものは何だろう。やはり、「低成長の時代」と言われる1990年代以降の社会や経済は無視できない。

「今の若者は、国や社会が実際に成長していく光景を目の当たりにしたことがなく、来年、再来年はもっと良くなるという希望を持つことができない。頑張っても見返りがあるとは限らないことを、感覚的に知っているのです」

また、彼らが生まれた時には、既に周囲はモノに溢れていた。物心がついた頃にはパソコンや携帯電話も普及し始めており、“何もない”環境で育った人は皆無に近い。

「気持ちの面では“やりがい”、物質的な面では“ハングリーさ”が失われたわけですから、現状維持志向になってもおかしくないのです。仕事でのモチベーションも、成長感や自己肯定感など、お金やモノとは別のところに求める傾向にありますね」

こうした傾向は日本に限った話ではない。欧米をはじめ、近年は中国の上海など、経済が成熟した国や地域で同様の傾向が見られる。若者が“まったりする”社会の現象は、原田氏曰く「成熟病」特有の症状だという。

SNSがもたらした光と影

デジタルの発達がもたらした影響も大きい。膨大な情報が手に入る時代だ。今の若者は、その情報に翻弄され、夢を描きにくくなっている。

例えば、思いを寄せる女性がSNSに投稿した、デート中の彼氏との仲むつまじい写真を目にして、告白を断念するといった具合だ。

「リアルタイムで個人の多様な情報が入ってくることで、極端に言えば“人間偏差値”のようなものを思春期の頃から意識してしまうのでしょう。そのせいか可能性を自分でセーブしてしまい、向こう見ずな行動にはなかなか踏み出せなくなっているのだと思います」

しかし、ネットやSNSは、同時に若者たちに良い影響も与えている。

「かつてはほとんどの人にとって、学校や会社が唯一の居場所であり、生活や価値観が似ている人同士でコミュニティーを作っていました。しかし今は、官僚がマイルドヤンキー※とSNSで友達になることも珍しくない。自分とは違う立場や境遇を受け入れ理解する柔軟さが、彼らにはあるのです」

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