J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2016年04月号

CASE 1 JTBグループ 3年目、6年目の壁を乗り越える 若手の背中を押す“多様な仕掛け”

就職人気ランキングで常に上位に入るJTBグループ。
華やかなイメージがある旅行業界だが、実際は地道な業務も多く、中には入社後、モチベーションダウンする若手も見られるという。
一人ひとりのチャレンジ精神に火をつける3つの仕組みとは。

鈴木良照氏
JTBグループ 人事部 JTBユニバーシティ運営事務局 事務局長

水谷初子氏
JTBグループ本社 ブランド戦略推進室 室長

JTBグループ
1912年、外国人客誘致機関である、同社の前身ジャパン・ツーリスト・ビューローが創立。ブランドスローガンは「感動のそばに、いつも。Perfect moments, always」。
払込資本金:23億400万円(授権資本金: 32億円)、
連結売上高:1兆3239億7300万円(2015年3月期)、
連結従業員数:2万7270名(2015年11月末現在)

[取材・文]=井上佐保子 [写真]=編集部

●背景 多忙な現場で募る閉塞感

JTBグループといえば、就職したい会社ランキングで常に上位に入る人気企業。旅行好きな学生にとってはまさに憧れの的だ。

しかし入社後、彼らの多くが配属される渉外営業やカウンターセールスは派手な業務ではなく、入社前のイメージとのギャップに悩む若手社員も少なくない。「旅行業は決して華やかな仕事ではありません。お客様のあらゆるリクエストに応え、ご満足いただくために、地道な業務も多いのです」(鈴木良照氏:以下鈴木氏)。

そのうえ、天候不順による交通機関の遅れなど、旅行には予想外のトラブルもつきもの。どの企業にも見られるように、日々、目の前の仕事に追われるうち、入社時の夢や目標を見失う若手が出てくることもあるようだ。

一方、若手が身につけるべき知識やスキルは多岐にわたる。インターネットの旅行情報が溢れているため、高い情報力や提案力が必要となるからだ。また、多様化するお客様一人ひとりのニーズを探り、それを満たす旅行商品を提供するための高いコーディネート力、プレゼン力も求められる。

したがって、モチベーションの維持、向上は不可欠といえるが、同社では次のようなアプローチを行い、彼らの意欲を引き出している。

①入社後のモチベーションダウンを防ぐ施策

②さまざまな挑戦心を促進する多様な仕組み

③社会貢献を通し、仕事と会社の価値、意義を再発見する活動

具体的にどのような取り組み内容なのか。順に見ていこう(図)。

●具体的な施策 ①モチベーションダウンを防ぐ

→3年目、6年目の壁に備える

まず、①の入社後に起こりやすいモチベーションダウンを防ぐ試みを紹介しよう。

好例が3年前に立ち上げた、グループ横断型教育研修プラットフォーム「JTBユニバーシティ」だ。JTBグループは、社員が最大の経営資源であるという考えの下、「人材」を「人財」に育てることが責務と捉えており、グループ下の社員2万7000人を対象とした人財育成戦略の立案と教育研修の運営を行っている。専任講師25名と外部講師とで行う集合研修は、年間約100種類1000講座。旅行業務に関する研修やビジネススキル、キャリアアップ研修などが階層別に組み込まれている。

若手に関しては1~4年目を「能力開発期間」、5年目以降を「能力発揮期間」と位置づけ、まずは能力開発期間でしっかり教育を施すことに重きを置いてさまざまな研修を行っている。そのうち、モチベーションアップの目的で実施しているのが、「若手社員キャリアアップ研修(入社3年目社員対象)」と「キャリアデザインセミナー(入社6年目社員対象)」だ。

入社後のモチベーションダウンは二度訪れると言われる。最初のタイミングは入社3年目。仕事の面白さが分かり始める一方で、業務量が増え、求められるものの質も高まる頃だ。そんな現実に直面し、徐々に初心を見失ってしまうのである。

そこで若手社員キャリアアップ研修では、3年目の社員を20名程度ずつ集めて研修を行い、お互いの近況を語り合いつつ、入社時の夢や目標を思い出し、将来のキャリアについて自ら考える機会を設けている。

2度目のモチベーションダウンが発生しやすいのは入社6年目だ。「20代後半はさまざまなライフイベントが起こる一方、責任や役割、上司からの期待が大きくなる時期。ここで立ち止まって自分を見直すことで明日への力にしてほしい、と考えています」(鈴木氏)。キャリアデザインセミナーでは3年目と同様、キャリアについて考えられるような研修を行う。

また、最終日に職場の上長(支店であれば支店長)からの手紙が手渡されるサプライズも用意している。「自分をちゃんと見てくれている人がいるんだ、と感激して涙する社員もいます」(鈴木氏)

→メンター制度で心を支える

キャリアや仕事の悩みに応えるべく、JTB関東では新人を支えるメンター制度も整備している。新入社員1人につき、業務を指導する同部署の先輩である指導社員の他、別の部署の先輩社員がメンターとしてつく。メンター社員は、指導社員には話しづらい相談を受けるなど、精神的に寄り添う役割を担う。

来年度からはこの制度を全国に広げ、メンター社員向けの研修も開始する予定だ。鈴木氏は「新入社員たちが指導社員やメンター社員になった時に、自分が受けた指導や支えを生かし、若手育成の好循環を生み出してくれることを期待しています」と話す。

②さまざまな挑戦心を促進

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