J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2015年02月号

おわりに 働きがいを生み出すキーワード ~「ゆとり」「一体感」「個別対応」

働きがいは、仕事の“ 中” だけでなく“外”にもある――。
時代と共に変化する一人ひとりの働きがいに、企業、人事はどう対応すべきだろうか。
ポイントをまとめた。

企業と個人がWin・Winの関係を築くためのカギが「働きがい」だ。高度経済成長期と違い、昇給も難しい時代、優れた人材を確保し、質の高い仕事をしてもらうためには、従来通りの雇用環境を整えるだけでは事足りない。「働きがい」があればこそ、個人はその会社に対するロイヤルティや、よりよい仕事をしようという意欲を持つ。OPINION1守島基博氏(P.28)が指摘するように、一人ひとりが望む働きがいの実現は、企業にとって福利ではなく、“投資”にほかならない。

ただ、時代と共に働きがいは変化し、多様化が進んでいる。その実情と対策を取材した。

働きがいはどう変わったのか。守島氏は「仕事を中心とした働きがい」が提供しにくい時代になった、と説明する。ビジネスを取り巻く環境が厳しくなり、リスクのある面白い仕事やチャレンジングな仕事がしづらくなった。さらに、プライベートな時間を大切にしたいと考えるビジネスパーソンが増えた。家族のための時間。趣味を楽しむ時間。それぞれ、やりたいことや大切にしていることがある。

そこでキーワードとなるのが、ワークライフバランスだ。個人の価値観や事情に合わせ、時間的に「ゆとり」を持って働ける環境を整えなくてはならない。とはいえ、ゆとりを取り入れることによって、生産性は低下しないのだろうか。

OPINION2宮原淳二氏(P.32)は東京大学 先端科学技術研究センター西成活裕教授の研究を紹介し、明確な目的を定めたうえでゆとりを取り入れれば、短期的には不利益が生じたとしても、将来はプラス効果が生まれる、と説く。

バケツリレーを例に考えればわかりやすい。バケツで水を運び、水槽を満タンにする。1回に運ぶ水の量を増やせば、早く作業が終わるはず、と考えがちだ。だが、水の量が多ければその分、バケツは重くなり、運搬スピードが遅くなる。あえて水の量を減らし、ゆとりを持って作業することが、効率よく成果を上げるコツという。この発見は、あらゆる仕事の現場に通じそうだ。

とはいえ、バケツに満タンの水を汲み、フルスピードで運搬し続けている現場は、今も少なくないことだろう。長年の間に組織に根づいてしまった働き方は、そう簡単に変わらない。

トップの号令によって一気に風土改革を進め、社員の働きがいを高めることに成功したのがCASE2 SCSK(P.40)だ。

昼休みになると、多くの社員が机に突っ伏して寝ている。当時、会長兼社長に就任した中井戸信英氏はこの光景に愕然としたという。「働きがい」を論じる前に、まずは慣習となっている長時間労働をやめることが先決、と同氏は判断した。

同社では、トップの明確な方針のもと、全員で知恵を出し、工夫を重ね、「量より質」を重視する働き方を実現していった。その結果、子育て中の社員は家族のための時間を取りやすくなり、アフターファイブを自己啓発にあてる人が増えた。有給休暇を取得するにあたり、抱え込んでいた仕事を部下に任せるようになった上司も出てきた。その中には、プレイングマネジャーから一変、育成熱に目覚める管理職もいたという。生産性ばかり追うのでなく、働きがいを持って仕事に臨む社員が増えていった。

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