J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

月刊 人材教育 2012年10月号

企業事例2 石川サンケン 通信教育にプラスアルファの工夫で「全社員が中核人材」をめざす

各種エレクトロニクス製品に使われる半導体を生産する
アセンブリーメーカー、石川サンケン。
同社では工場全体の生産レベルを向上することをめざし、
社内での等級認定制度と通信教育を活用しているが、
そこにはただ通信教育受講を促すだけではない、独自の工夫があった。

福田 靖 >> 石川サンケン 総務人事部人事課リーダー

石川サンケン
1978年設立。各種エレクトロニクス製品のパワー部分に使われる半導体を生産するアセンブリーメーカー。サンケン電気グループの一社として、半導体製造の中核を担う。
資本金:9550万円、従業員数:1258名、売上高:341億円(2011年度)。

[取材・文] = 梶 文彦

少数のプロを育てるより社員の意識の底上げ

石川サンケンは、電源周辺の半導体を生産するサンケン電気グループの中核企業だ。人材育成を担当する総務人事部人事課リーダー、福田靖氏は、同社にとっての「ものづくり中核人材」とはどんな人材かについて、以下の3つの能力を備えた人材、と語る。

①設備を操作して高品質なものづくりを行える能力

②設備を良い状態で使用できるように整備保全できる能力

③改善などのマネジメントができる能力

一言で、ものづくりの中核人材といっても、企業や工場かによって求められる能力は大きく異なる。電気製品や装置の電源部に使用されるパワーICなどの半導体を手掛ける同社の場合、設備はほぼ自動化されているために、出来高や品質は設備の稼働率に依存する。したがって、スキルとして設備を安定稼働させる設備保全の技術は極めて重要になっているのである。「弊社はTPM優秀賞(1995 年)や継続賞(1998 年)を受賞するなど、以前から設備保全教育は徹底して行ってきたのですが、その後も2008 年度には独自に『保全マイスター制度』などを導入。人材育成優良企業として県知事表彰などもいただけるようになりました」

しかし、保全技術が向上するにしたがい、新たな課題が生まれてきた。製品が高度化し、さらに高品質が求められるようになるにつれて、同社としても、ワンクラス上の高い品質を保証することが求められるようになってきたのである。

そこで、品質管理のプロを育成しようとさまざまな施策を導入してみたが、一部のプロは生まれても、品質は思うように改善しなかった。

検討を重ねた結果、「少数の専門家の育成より、長期的な視点で社員の意識を底上げする」(福田氏)ことに行き着いたという。

通信教育とテスト、レポートをプログラムに

社員の意識を底上げするために、採用されたのは、社内での等級認定制度と、それにひもづいた通信教育だ。2005年頃からは等級合格が昇格要件に組み込まれ、徹底されている。「品質は、一部のプロが保証するものではなく工場全体で保証するもの。しかも意識を変えてもらうためには、品質だけでなく工場マネジメントのマインドを持ってもらうことが重要です。そこで、そういった考えがもとになっている、ある通信教育を採用することにしました」

その通信教育を導入することにより、班長、係長、課長の3階層を対象に、階層ごとにステップアップさせていくことができる。また内容も、企業の役割、品質管理、生産管理・工程管理、コストダウン、IE(インダストリアル・エンジニアリング)、改善、原価管理など、工場マネジメントの全般がカバーされている。

コースは階層別に、班長昇格向け(スキル3級)、係長昇格向け(同2級)、課長昇格向け(同1級)の3種が用意されている。通信教育の開講は4月で、1年間で全工程を修了する。

しかし、通信教育を受講させるだけでは、知識を詰め込むだけになってしまったり、やりっぱなしになりかねない。そこで、同社は独自の工夫を加えている。通信教育修了後のプログラムの流れは以下の通り。

③12月、理解度確認テストと同時に、受講者に自部門で行う「改善テーマ」を申告してもらう。

④翌年3月、申告テーマの改善実践レポートを提出し、管理職のチェックを受ける(図表1)。

レポートで知識を血肉化修了は昇格の資格要件に

同社独自の工夫である「理解度確認テスト」と「改善実践レポート」について、より詳しく見てみよう。

(1)理解度確認テスト

通信教育で学んだ内容をしっかりと習得しているかどうかの確認のため、修了者に対して60 分で行っているもの。

このテストでは、テキストや添削資料などの持ち込みを「可」としている。テキストの勉強だけでは回答できないような、高度な課題も出されているからだ。昇格要件としては、このテストで最低でも60点を取る必要がある。

テストに加え、30 分間の「改善実践テーマの申告」記述作文がある。通信教育で得た知識を、自分の部署の業務にどう実際に生かしていくかを問うもので、受講生は、「テキストの○章記載の□□□□を応用して、△△を改善します」と申告する文章を書く。

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:1,792文字

/

全文:3,583文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!