J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

月刊 人材教育 2013年08月号

CASE.3 ファイザー マネジャーに効果的効率的なトレーニングを! 現場の実践の中で役に立つ内容と 上司のOJTを組み込む内製研修

ファイザーでは新任・若手マネジャーを育てるため、より現場の要求に沿った研修を提供できる仕組みづくりを行っている。ここ3年は「必要な人に、必要な時に、必要な研修プログラムを提供する」をコンセプトに、社員育成研修のパッケージ化を推進。
 新任マネジャーには1年間の「新任管理職研修」と2年間の「新任ラインマネジャー研修」という長期パッケージを用意した。そこには、上司によるOJTもプログラムとして組み込んでいる。

田柳 勝男 GCOトレーニング スキル能力開発チーム 部長
朝日 健太郎 スペシャリティ・ケア事業部門 ワクチン事業統括部 ワクチンマーケティング部 小児用ワクチンチーム 部長

ファイザー
研究開発型の製薬企業であり、1953年日本市場に進出。現在、循環器系、中枢神経系、鎮痛・抗炎症系、筋骨格系、感染症、泌尿器系、眼科系、ガン、内分泌系、ワクチン、希少疾病などを含む幅広い疾患分野で事業を展開している。設立:1953年(日本法人)、社員数:5,583名、売上高:5,242億円(2012年度)。

[取材・文]=中村 博昭 [写真]=ファイザー提供、中村 博昭

●背景重なりや機会損失をなくす

製薬企業であるファイザーは1953年に日本市場へ進出。日本法人として60年もの歴史を持ち、社員教育も、グローバル統一のプログラムに加え、日本独自の視点で行ってきた。ここ3年ほどは、集合研修の見直しを行っている。理由は効率化と効果アップだ。GCOトレーニングスキル能力開発チーム部長の田柳勝男氏はその経緯をこう語る。

「ここ10年、企業規模が大きくなるにつれて、管理職のポジションも増えました。それと同時に研修も増えたのですが、徐々に非効率的なことも起きてきました。同じ内容のものを何度も受講することになったり、必要なタイミングでほしい研修が受けられなかったり。そこで3年ほど前から研修の整理と見直しを始めたのです」

見直しのコンセプトは「必要な人に、必要な時に、必要な研修を提供する仕組みを構築する」というもので、以下の3点がその特徴である。

1.昇格や昇進といったキャリアの節目、一番知識やスキルを必要としている時期に研修を集中させ、スタートアップを支援すること

2.研修内容も組織のニーズに柔軟に対応し、業績に本当に貢献する研修プログラムを提供すること

3.マネジャーの上司たちを研修に積極的にかかわらせ、その効果を確実なものとすること

集合研修でポイントとなるのは、管理職およびラインマネジャーへの昇格時だ。「管理職」昇格は一般社員から会社側へのキャリアアップの節目。「ラインマネジャー」は組織・チームのライン長として、部下を持つことになる。これまでは、この2つの昇格研修の位置づけが曖昧で、同じような内容となっていた。そこでコンセプトを明確にし、分けることにした。「新任管理職研修のコンセプトは『キャリアデザインとマインドセット』、新任ラインマネジャー研修は、『部下を指導、育成し、チームをマネジメントする』にフォーカスした内容へと見直しを行いました」(田柳氏、以下同)こうした施策に変更したのは、次のような理由もある。「製薬企業の社員、特にMR(医薬情報担当者)は、製品のユーザーである医療機関に、医薬品の情報を知識として提供します。そのためには社員が常に学び続けていなくてはなりません。そこでファイザーでは『自ら学び、自ら成長する』オーナーシップカルチャーをより重視し、自律した人財の育成をめざしているのです」

マネジャーには、個々のメンバーの成長や、チームでの業績達成に対する責任がのしかかる。それゆえ、同社ではマネジャーに手厚い教育支援を行っているのである。

●具体的な取り組み1上司からのOJTも!新任管理職研修

では、実際の研修内容はどんなものなのだろうか。新任管理職研修は、4月の定期昇格者に対して、1年パッケージで実施され、毎年100名前後が受講している。図表1は研修スケジュールとその内容だ。eラーニングに始まり、ウェブによるオリエンテーションを経て、集合研修が2日間。その後は上司によるOJTが行われる。個人学習、集合研修、上司とのかかわりと、3層構造の研修だ。

「以前はマネジャーとしての知識を学ぶ教育も集合研修時に行っていましたが、参加者やその上司から『せっかく大勢で時間を共有するのだから、それを生かせる内容にしてほしい』との声がありました。そこでワークショップを大幅に取り入れ、ナレッジ教育はeラーニングに変え、事前学習に組み込んでいます」

現在実施されているワークショップは「マインドセット」「キャリアデザイン」「コンプライアンス」「コンピテンシー」に関する4種だ。ちなみに、こうした集合研修はその多くが同社のオリジナルなもの。「内製したほうが現場の声を反映しやすく、取り上げる課題やケースも、日々の仕事で実際に困りそうな内容を入れ込みやすくなります」――前記の中では、コンプライアンスは法務部、マインドセット、キャリアデザインとコンピテンシーはスキル能力開発チームが作成しているという。またワークショップでは、マネジャーが実際に現場で困り、答えが簡単には見つからないようなテーマを取り上げている。若手マネジャー同士、議論も白熱。メンタル面の支えにもなる(体験談は51ページの朝日氏囲み記事参照)。

3層目の「上司のかかわり」については、研修効果を上げるうえで「もっと上司がかかわるべき」という判断から、上司による面談とOJTを組み込んだもの。「上司には研修後に3度の面談とその間のOJTをお願いしています。OJTでは新任マネジャーに、自分のキャリアプランや能力開発など、研修で学んだことをどう生かすのかを直接指導してもらいます。明確にプログラムの一部とすることで、上司が積極的にかかわってくれるようになりました」

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:2,107文字

/

全文:4,214文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!