J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

Learning Design 2020年09月刊

インストラクショナルデザイナー 寺田佳子の学びのキセキ 第13回(最終回) NEC マーケティング戦略本部 シニアエキスパート/こすぎの大学・岡本克彦さん 自分を変える“時代の波”の乗り方

人は学べる。いくつになっても、どんな職業でも。
学びによって成長を遂げる人々の軌跡と奇跡を探ります。

岡本克彦さんはNECではブランド戦略、地元ではソーシャル系大学の運営と、軽やかに場を行き来する学びの達人です。
「会社のボク」と「地域のボク」、そして「ボク自身のボク」の3つの顔に寺田さんが迫り、変化の波乗りを楽しむコツを聞きました。

Interviewee Profile︱岡本克彦氏
1972年、横浜市生まれ。1995年NEC ホームエレクトロニクスに入社。
携帯電話、スマートフォンの商品企画などを経て、現在はNEC マーケティング戦略本部でブランド戦略を担当。
2011年に「企業間フューチャーセンターLLP」の立ち上げ、2013年より神奈川県川崎市で「こすぎの大学」の企画運営を開始。
公私を融合させた「働き方」や「楽しみ方」を模索する。



Interviewer Profile︱寺田佳子(てらだよしこ)氏
インストラクショナルデザイナー。IDコンサルティング代表取締役。ジェイ・キャスト常務執行役員。日本eラーニングコンソシアム理事。熊本大学大学院教授システム学専攻講師。
ICTを活用した人材育成のコンサルティングの他、リーダーシップマネジメント、プレゼンテーションセミナーなどの講師として国内外で活躍。
『学ぶ気・やる気を育てる技術』(日本能率協会マネジメントセンター)他、著書・訳書多数。
プロフィールこぼれ話★最終回
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)で、IDの世界にも“新しい日常”が。私もYouTube(@SHONAN yoshiko)などオンラインの波にサーフィンします!

写真/矢部志保

01 小さな楽しみを見つける達人

“オカポン”こと岡本克彦さんに初めて会ったのは今から7年前。「学び続ける人がリーダーになる時代」というテーマで、私が講演したときのことである。その後、福島の復興支援イベント(という名の飲み会)や、オカポンの地元・武蔵小杉のソーシャル系大学(という賑やかなコミュニティ)などで会うたびに、なんて自由でなんて楽しそうな人だろうと羨ましく思っていたが、実は日本屈指の電機メーカーの社員でもある。

緊急事態宣言が出た今年4月。オカポンは“自宅まで通勤”を始めた。インスタグラムに毎日アップされる写真は、河川敷ののどかな風景で、通勤の慌ただしさとは別世界である。

いったいどこから自宅に通勤しているのかと不思議に思ったが、

「ボクはすごい寝坊助(ねぼすけ)で、在宅勤務になってから起きる時間がだんだん遅くなってしまって。とうとう8時25分起床で8時半始業、なんてことになっちゃったんです」

このままではマズい……。

不安になっていたところに、地域活動で出会った会社の先輩から「いつも出社する時間に自宅の周りを散歩している」という話を聞いた。

「通勤の代わりに散歩? 健康的だなぁ!」

さっそく早起きをし、自宅近くにある多摩川の河川敷を30分ほど歩いてみた。ふだん駅まで急ぐ時とは違う、気持ちのゆとりが心地よかった。すると、それまで気がつかなかった季節の色が鮮やかに目に映るようになった。

ここでぶらぶら歩きがただの散歩で終わらないのが、オカポンである。この早朝散歩の写真に“#自宅まで通勤”と、ハッシュタグをつけることで、“新しい日常”に新しい楽しみが生まれた。

何気ないことにも、フッと笑いがこぼれるような仕掛けをするところが、らしいですよね!

「だって、“楽しくなければ続かない”って思っていますから」

“#自宅まで通勤”の効果は絶大だった。朝になるとカラダが「通勤したいモード」になり、自然と目覚めるように。起床は毎日10分ずつ早くなった。気がついたら朝の5時に散歩を始め、川辺で朝日を浴びるのが新しい通勤スタイルになっていた。

02 見る目を変えた新型コロナ

新型コロナの影響で、会いたい人に会えない、会いたいときに会えないもどかしさを嘆く人は多い。

「それにオンラインミーティングで使うのは、主に視覚と聴覚だけ。五感全体で雰囲気まで共有するのは難しいですしね」

オンラインの世界は、固定された画面と時間とメンバーのなかで繰り広げられ、予定調和になりがちだ。偶然誰かに出会ったり、思いがけない光景に見惚れたりという、リアルな世界で起こるようなハプニングがない。ないことばかりをあげると気が滅入るが、オカポンはというと、

「With コロナになって、仕事の生産性は上がったと感じているのです」

たとえば、オカポンがリーダーを務める「NEC 未来創造会議」。今から30年後、シンギュラリティ(技術的特異点)の先にある世界を構想する注目のプロジェクトだ。しかし、会社のなかで報告会を企画しても、思いのほか人が集まらない。

「みんな、未来に興味がないのか?長期的な視点がないのか? それでいいのか……?」

悶々とした想いを抱えていた。

ところがコロナ禍でオンライン開催にしたら、参加者の数はなんと一気に10倍に増えた。仕事をしながらでも、遠方からでも、気軽に参加できるようになったからだ。

「そうか! 興味はあっても、参加する環境が整っていなかったからなんだな」

こうして人を見る目が変わり、コミュニケーションのとり方が変わり、仕事の生産性のとらえ方も変わった。

さらにもう1つ、コロナではっきりとわかったことがある。それは、「未来はいつも、ボクらの想像より早足でやってくる」。

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:1,873文字

/

全文:3,745文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!