第12回 東日本電信電話「NTT中央研修センタ」(東京都・調布市) 稲水伸行氏 東京大学大学院 経済学研究科 准教授
どのような空間ならば、「学び」は促進されるのか。
オフィス学を研究する東京大学大学院経済学研究科准教授の稲水伸行氏が
企業の研修施設をめぐり、学びを促進させる工夫を解説する。
「つなぐ」を実践する場
「つなぐDNA」を人材育成理念にかかげ、人と人、人と社会などあらゆるものを確実につなぎ、伝えていくことを大切にしているNTT東日本。東京・調布市にある同社の中央研修センタは、教育をとおして「つなぐ」を実践するための場だ。
その歴史は約70年におよぶ。1949年に電気通信職員訓練所東京第一学園神代分室として設立。その後、電気通信職員訓練所中央学園、中央電気通信学園と改称され、1999年にNTT東日本研修センタ、つまり現在の形になった。敷地内には、逓信省、電電公社、NTTと引き継がれた歴史ある建物が並ぶ。
「研修を行う場として、座学棟が5棟、実習棟が3棟あります。座学棟のなかでも1号館から4号館は学校のような造りで、公社時代の中央学園にあった大学部の名残があります。一方、5号館は数年前にできた座学棟で、次世代研修環境が整っています。これらの学び舎を使い分け、変革を牽引し、環境に応じ自ら進化し続けることができる人材の創出を行っています」(総務人事部 人材開発部門 牧拓弥氏)
東西南北に広がる中央研修センタの広大な敷地には、8棟の座学棟・実習棟以外にも講堂や体育施設、野外実習を行うフィールドなど、様々な施設・設備が設けられている。2019年度は延べ約20万人が利用したという大規模な施設、主だったものを紹介していこう。