J.H.倶楽部

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Learning Design 2020年03月刊

私のリーダー論 学習・実践の反復を 行いたくなる環境づくりで 社会の筋肉と人間力を育む

日本社会は「超高齢化」に向かっており、「健康寿命の延伸」による労働人口の確保と医療費の抑制は、大きな命題となっている。
人々の「健康」は何にもまして重要な資源だ。
社会の健康を事業として支えるルネサンスは、企業のみならず、地域の健康づくりにも取り組み、「生きがい創造企業」としての役割を果たしている。
そこで、同社のなかでの健康経営や、人材育成について聞いた。

吉田正昭(よしだ まさあき)氏
ルネサンス 代表取締役 社長執行役員※
最高健康責任者(CHO)

生年月日 1956年7月13日
出身校 京都産業大学 経済学部
主な経歴
1979年 株式会社ピープル(現:コナミスポーツ株式会社)入社
2004年 ルネサンス入社 執行役員 営業副本部長
2006年 取締役 常務執行役員 営業副本部長
2007年 取締役 常務執行役員 営業本部長
2009年 取締役 専務執行役員 営業本部長
2011年 代表取締役 社長執行役員
2015年 代表取締役 社長執行役員 全社戦略担当
2016年 代表取締役 社長執行役員 全社戦略担当 最高健康責任者(CHO)
2018年 代表取締役 社長執行役員 最高健康責任者(CHO)
2020年4月 取締役顧問に就任予定

企業プロフィール
株式会社ルネサンス
1979年創業。総合スポーツクラブ事業を核としながら、自治体や企業を対象に健康づくり支援や介護リハビリなどの社会課題の解決に取り組む。
資本金: 22億1,038万円
連結売上高: 460億7,000万円(2019年3月期)
連結従業員数: 1,611名(2019年3月現在)

取材・文/村上 敬 写真/山下裕之
※ 2020年 1月取材当時。

総合クラブを中心に3つの柱で事業を展開

─貴社の事業概要と、現在優先的に取り組んでいることについて教えてください。

吉田正昭氏(以下、敬称略)

もともと当社はテニススクール事業からスタートしました。スクールは成功しましたが、創業者で会長(取材当時)の斎藤(敏一氏)が「テニスブームはいつか終わる」と判断して、総合クラブへと業態を転換。M&A を繰り返しながら成長をして、2004年に上場しています。

実は上場の準備で投資をセーブしていたため、上場後に会員数の減少が続いた時期がありました。2007年ごろから施設を整備して2年がかりでマイナスをゼロにしましたが、やはりフィットネスの単一事業ではリスクが高い。そこで複合体でやることを決めて、健康需要の高まりを見据えてヘルスケア事業を第二の柱として立ち上げました。さらに人口減少で日本市場が縮小する時代に備えて、ベトナムにも進出。この海外事業が第三の柱になると考えています。

ベースの総合クラブ事業は、引き続き総合クラブを出店する他に、住宅街を中心にジムとスタジオの小規模な施設を出す予定です。ヘルスケア事業では、運動特化型デイサービス施設「元氣ジム」の展開を加速させます。これはお世話をする介護と違って、運動することで要介護から脱したり進行を遅らせるためのポジティブな介護施設です。実際、要介護3の方の介護認定が取れて、総合クラブに編入されたお客様がいらっしゃいます。もう1つの海外事業は、いま中国・韓国・台湾からオファーが来ていて、商談を進めている段階です。

トップインストラクターの条件

─3つの事業を進めるなかで、どのような人材を必要とされているのでしょうか。

吉田

フィットネス事業では、先生になるのではなく、お客様をしっかりサポートできる人材が求められます。この業界では「会員満足」が重要だといわれますが、当社が掲げているのは「感動満足」。施設に通って何かの目的を達成したり新しい友達ができたりするときにお客様に感動が生まれ、お客様から感謝されることで従業員の側にも感動が生まれる。当社はこの感動のキャッチボールを目指しています。これを実現するには、先生的な指導ではダメ。お客様一人ひとりの目的を理解して、それに合ったサポートをすることが大切です。

では、どうすればそれができるようになるのか。私は鍵は「人間力」だと思います。去年、ロボットやAIに取って代わられない仕事に関する記事を読んだのですが、そのなかにはインストラクターもありました。マニュアル的に教えるだけならロボットの方が正確ですが、お客様の目的や気持ち、コンディションに合わせて適切なサポートをするのは、人間でないと難しい。人間力が豊かなインストラクターこそが、お客様と良い関係を築き、感動満足を生むのです。

─人間力を高めるには、どうすればいいでしょうか。

吉田

絶えず勉強するしかないでしょう。私も含めて、もともと人がもっている人間力は、だれしもたいして深いものではありません。様々な勉強をして情報を得て、仕事のなかで使ってみて、良ければ残して、そうでなければまた新しくしていく。そうやって筋肉をつけるときと同じように勉強を繰り返し、学んだことを使ってみることで、人間力も高まるのではないでしょうか。

必要な勉強は、業務に直接役立つスキルだけではありません。人間力が重要だという考えに立てば、専門外の情報にも触れて見識を深めることも大切だと思います。

─会社として社員の勉強を支援するしくみもあるのでしょうか。

吉田

社外のセミナーの費用などを一部補助する制度は整っています。ただ、制度があるからではなく、自発的に学ぶ姿勢が大切です。

実際、当社には時間やお金の投資を惜しまないで学ぶ社員が多いようです。そしていい情報に出合ったら、みんなで共有しあっています。会長の斎藤は、月初の朝礼では、「こんな本が興味深かった」「こんな人に会って、良い話を聞いた」といった話をしています。同じことが社内のあちこちで起きているようです。

ちなみに本社8階に図書館があって、従業員は自由に借りて読むことができます。堅いものから柔らかいものまで、様々なジャンルの本が項目別に整理されていて、結構立派なものですよ。

ベンチャー精神を育む提案制度

─新しい提案制度と、それにともなう研修を始めたとお聞きしました。

吉田

会長の斎藤はベンチャーの塊のような人間で、そのスピリットは上場した今も継承していかないといけません。また、本社で考えるより、お客様と一番近いところにいる人の方がリアリティーのある発想ができるはずです。そこで一昨年から、全従業員が新規事業を提案できるしくみをつくりました。特徴は、社長直轄のプロジェクトであること。今の仕事やラインから離れた、自由な提案を集めたかったため、通常のライン経由で提出するのではなく、私が直接見ることにしました。

最初にある程度絞り込んで、選考を通ったものについては新規事業開発の研修をしながら磨き上げていきます。1年間かけて事業計画をつくり、最終的には役員の前でプレゼンするのですが、初年度はそうして事業化したものが3つありました。

─どのような事業ですか。

吉田

まず、健常者と一緒に運動することが難しい、障害をもったお子さんを対象とした「元氣ジムジュニア」。これはもう3号店までラインナップができています。

それから今年3月に外苑前にオープンする「BETTER BODIES HI」。主にビジネスパーソンをターゲットにした新業態で、45分間の高効率なプログラムを提供します。私も試しましたが、2日後に筋肉痛になるほど高負荷でした(笑)。

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