J.H.倶楽部

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Learning Design 2019年11月刊

気づきのエンタ MOVIE 人事に役立つ映画 チームならエゴの限界を突破できる

人材開発担当者にご紹介したいエンタメ情報です。
仕事の合間の息抜きにぜひ!

『ホテル・ムンバイ』
2018 年 オーストラリア・アメリカ・インド合作
監督:アンソニー・マラス  配給:ギャガ
ⓒ 2018 HOTEL MUMBAI PTY LTD, SCREEN AUSTRALIA, SOUTH AUSTRALIAN FILM CORPORATION,
ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREENWEST INC



樋口尚文(ひぐち なおふみ)氏
佐賀県出身。映画評論家、映画監督。
早稲田大学政治経済学部卒業後、電通に勤務。
30年にわたり会社員をしながら映画評論家、映画監督として活動。
著書に『大島渚のすべて』(2002年)他多数。
映画作品に『インターミッション』(2013年)、『葬式の名人』(2019年9月公開)など。

2008年のイスラム過激派によるインド・ムンバイ同時多発テロを題材にした『ホテル・ムンバイ』を観ていて、数年前のインドへの長旅を思い出した。インドを周遊すると最先端のIT都市が現れたかと思えば、埃っぽく古い街並みにおびただしい数の人もサルも孔雀もいっしょくたに溢れかえって車道を生命潮流的に移動している。そんな凄い状況に巻き込まれることもしばしばで、そのカオスの熱は帰国して数週間も冷めないのであった。個の生命などちっぽけなものだと思い知らされつつ、それゆえに様々な生命が束になって自分以上の大きなダイナミズムを志向するさまにふれ、我が日常感覚を揺らがされる。狭い島国で、狭隘なエゴに煮詰まってゆく日本人からすると、別の宇宙にいる感覚である。

テロから逃げず宿泊客を守る

『ホテル・ムンバイ』はオーストラリア人の新鋭監督が手掛けた初長篇作ながら、単なる実話に由来するサスペンスに終わらず、このインドの人びとの精神性を感じさせるところがあった。その典型的な部分は、インドの名優アヌパム・カー扮するタージマハル・ホテルの総料理長が、テロに巻き込まれた500人もの宿泊客を守るべく厨房の部下たちを集めて協力を呼びかけるところである。「参加しないことはまったく恥ではない」と志願を強要することなく、残った有志のメンバーに以後、沈着冷静な指示を発し続ける。

多くの日本人は、ここで自分なら居残らないと思うだろう。だが丸腰のコックたちさえも「お客さまが神」と決然たる意志を表明し、わがままで脆いセレブのゲストたちを安全なスポットへ誘導し、刻々と迫るテロリストの動静を読みつつ館内を移動させる。その過程で命からがら逃げおおせた者もいれば、実にぞんざいに(モノのように)銃弾に吹っ飛ばされた者もいる。

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