連載 ユニオンルネサンス 第3回 Part 1 JAM 会長 小出幸男氏に聞く 組合員の視点に立って 満足度を高めることが重要

製造業のなかでも中小企業の労働組合で構成される産別労組のJAM。長引く不況や構造改革の流れのなかで、中小企業の労働者が置かれている状況は厳しさを増しており、産別としてのJAM の役割も相対的に大きくなっているといえるだろう。今回は、そんな厳しい労働環境のなかで「政策制度」「助け合い」を基軸に運動を展開するJAMの小出幸男会長に話を伺った。
もはや「要求型」の労働運動は限界
長期化する不況や雇用流動化のなかで、労働組合の基本的なミッションが揺らいでいるとの指摘があります。現在の労働組合が置かれている状況についてどのように認識されていますか。
小出
経済的な側面だけ見れば、確かに労働組合の役割が低下しているといえるでしょう。しかし、労働運動は経済的側面のほかに政策制度、すなわち社会全体の改革を求める運動と、共済活動に代表される助け合いの運動が大きな柱です。つまり、いま、労働運動の危機が叫ばれているのは、企業に要求し経済的な配分を求める「要求型」の運動が隕界にきているためで、残り2つの柱については重要性が増しています。
社会・経済的な構造変化のなかで、労働組合運動が重視すべきベクトルが変わってきたということですね。
小出
そうです。これまでの労働運動は、もらうことばかりにエネルギーを集中させてきましたが、今後は提供することにウエートを移すことが必要になる。つまり、企業内労働組合運動の限界を自覚し、年金や税制など政策制度運動に取り組んでいく必要があると思います。
当然、政治に対するかかわり方も重要ですし、社会全体をより良い方向へと前進させていく運動が不可欠です。また、共済活動を中心とした助け合い機能も重要で、さまざまな視点から機能の充実を図っていくべきでしょう。