連載 人事徒然草 第8 回 タブーに挑戦する

あまり反応のない隠居の随筆にも時々読者からメールをいただく。といっても初対面の方ではなく、どこかで接点のあった方に限られている。今回はJMA の研究会でお会いした優秀な人事の若手からであった。
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「日本の製造業は、かつての職員・工員の身分を廃し、80年代まで、いわゆるホワイトカラーとブルーカラー(これらの言葉は好きではありませんが)の労働条件、福利厚生を同一の制度下で運用してきました。私は89年から92 年までイギリスに駐在しましたが、そのころ、Common terms and conditionsとして、日本の強さの源泉の一つとされていた記憶があります。反面ホワイトカラーは、ある意味我慢をしていたとも言えます。
昨今、先例や手本のない時代を勝ち抜くには、優秀な人材を確保しなければならず、待遇についても思い切って格差をつける時代と言われています。一方、製造現場の労務費は世界一。この辺り、製造現場の強さを活かしながら、どう折り合いをつけていくのか、検討しなければならないと考えています。
同様のことが、ホワイトカラーのなかでも起こります。かつての高卒事務員がなくなり、派遣従業員に置き換えられています。大卒のスタッフは、コピーなど付加価値の低い下積みの仕事をやらせるのは無駄だ、という意見もあります。欧米のように、社内に明確な階層を設けて、はっきりと仕事の分担をすべきなのか?